2004 No.46
(1108 -1114)

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中国は貿易面でこの20年来急成長を続けており、既に貿易大国となったが、貿易強国と言うにはまだ遠い。新たな状況の下、貿易戦略をいかに調整して持続可能な発展を保持するかが、重要な課題となっている。

急成長を持続する貿易

呉除之

商務部の易小準・部長補佐は10月24日、浙江省・義鳥で開かれた「全国民営企業貿易会議」で「現在の状況から見れば、今年の輸出入総額は前年より30%増えて1兆1000億ドルに達する」との見通しを示した。これ以前に、業界の専門家の多くも1兆ドルを突破すると予想していた。1兆ドルは、関係機関が2002年に提起した2010年における達成目標である。

中国は昨年末に世界第4位の貿易国となり、世界第3位の輸入国となった。仮に1兆ドルが達成されれば、世界第3位の貿易国となる可能性がある。

持続的な急成長

今年1〜9月までの輸出入総額は8285億ドルと、前年に比べ36.7%増加した。うち輸出は4162億ドルで、同35.3%の増。輸入は4123億ドルで、同28.2%の増。貿易黒字は39億ドルに達した。

この数字は意外なものだと言える。今年から輸出関税還付率を15%から12%に下方調整したため、貿易にマイナスの影響がもたらされると考えられていたからだ。

商務部国際貿易経済協力研究院の柴海濤院長は「この数年来、輸出入の発展は絶えず予想を上回ってきた」と指摘する。2001年に輸出入総額が5100億ドルに達して、世界第6位の貿易国に。2002年には20%以上も急増して、6200億ドルを記録。当時の世界経済の状況は非常に厳しく、商品貿易の伸び率は世界全体で2%未満だった。2003年になると、国内の経済専門家は悲観的な予想を示した。経済・財政面で世界的に緊縮政策が実施され、米国や日本、欧州が中国の商品輸出に様々な制限手段を講じるなど、国際的な環境は中国にとってマイナスとなり、しかも国内で発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)の影響を受けて、2003年は以前の様な高い伸びは期待できないと思われていた。だが、通年で37%の伸び率となり、輸出入総額は8512億ドルを達成。輸入だけで、前年の輸出入総額に相当する。

この数年に限らず、1979年に改革開放政策が実施されて以降、貿易は一貫して急成長を維持してきた。通関統計によると、1980〜2003年までの年平均伸び率は14.5%。うち輸出は年平均14.9%、輸出は同14.1%で、このスピードは同期の国民経済の成長率、また世界経済や国際貿易の成長率を遥かに上回る。

 国際貿易経済協力研究院の李雨時副院長は「貿易が過去20年余りにわたり急成長を維持してきたのは、様々なプラス要因によるものだ」と指摘した上で、(1)世界的範囲で発展に向けての産業構造調整が実施され、その環境とチャンスを有効活用した(2)外国企業の直接投資が牽引した(3)国内の貿易体制改革が徐々に深化した――の3点を強調している。

易小準・部長補佐は「現在、国際的な環境は変数が比較的多く、貿易の発展段階に見られる層的な問題も根本的に解決されていないため、持続可能な発展を維持するとの任務は相当に難しい」と指摘する。

減少する黒字額

1990〜2003年を見ると、122億2000万ドルの貿易赤字を記録した1993年を除いた13年はいずれも貿易は黒字となっている。しかも1999年以来、黒字額は一貫して200億ドルを超えており、1997年と1998年は400億ドルに達した。

だが、黒字はこの数年は減少傾向にあり、今年の黒字額は100億ドル前後と予想されている。この数字は2003年の255億3000万ドルを大幅に下回るものだが、2003年には既に2002年の303億5000万ドルに比べ著しく減少していた。

黒字減少の原因について専門家は「世界貿易機関(WTO)に加盟後、関税が更に引き下げられ、非関税措置も大幅に減少したことから、輸入が増加するようになった。国内の経済構造調整のグレードアップ化が加速されたことで、先端的な技術や機械・設備の輸入需要が急増し、エネルギーや原材料の需要も旺盛となった。こうした影響から、この数年来、貿易総額が持続的かつ大幅に増大するに伴い、輸出の伸び率が著しく低下する一方で、輸入が急増してきたため、貿易黒字が絶えず減少するようになった」と分析する。

柴海濤院長は「マクロ経済から見れば、貿易黒字が一定の期間内に減少、もしくは赤字に転落したとしても、経済運営に大きな支障が生じることはない。経済発展により影響するのは、むしろ輸入製品の構造だ。いわゆる輸入構造が合理的であるというのは、先端的な技術や設備と緊急に必要とされるエネルギーや原材料、部品を主体とした輸入のことであり、輸入構造に対するマクロ調整を誤れば、国内の脆弱な産業にとって打撃となる。従って、輸入数量と輸入構造の動向に十分な注意を払うことが肝要だ」と強調する。

国家情報センターでは「貿易を巡る総体的な状況が変わることはなく、やはり黒字が今後数年の基本的な特徴となるだろう。だが、輸出を巡る外的環境は厳しさを増して商品輸出は徐々に難しくなり、輸出の伸び率が低下すると同時に、市場の開放が進むにつれ、輸入が輸出を上回るようになるだろう。こうした状況が今後、続いていく可能性がある」と分析している。

加工貿易の急速な発展

今年上半期の加工貿易は2422億6200万ドルに達し、前年同期に比べ39.4%の増となった。一般貿易赤字が大幅に増加する中、加工貿易の黒字は順調に増大して424億4000万ドルを記録。加工貿易の顕著な増加と規模の急速な拡大が、通年の貿易を均衡化する上で最も主要な貢献を果たすと見られている。

中国の輸出入構造は先進国と大きく異なり、輸出の約50%はいわゆる加工貿易に依存。現在輸出されている商品には、輸出するために輸入された商品がかなり含まれている。専門家は「理論的に言えば、加工貿易は加工の段階にある国家に必ず黒字をもたらす。加工貿易に従事する国は常に、輸出するために輸入された原材料を加工して加工費用を稼いだ後、より高い価格で輸出するからだ。長年、この加工貿易による黒字が主に貿易黒字を支えてきた」と指摘する。

加工貿易では外資系企業が先導している。今年5月までの外資の輸出入額は2406億ドルと、貿易総額の約57%を占め、うち66.4%が加工貿易で、加工貿易額の82%近くを外資が占めた。生産は通信設備やコンピューター、電子、汎用・専用設備に集中しており、投資を特化しているのが特徴だ。

現在、長江デルタ地帯や珠江デルタ地帯、渤海湾地区にはITやICTを主体とする外国企業が集中。珠江デルタ地帯に位置する広東省・東莞市だけでも、コンピューター関連企業は3000社以上を数え、コンピューターの95%の部品を生産できる能力を備えている。重要な部品を輸入し、組み立てた後に製品を輸出するなど、生産・販売モデルはほぼ同様である。

商務部が江蘇省・無錫で開いた「紡績品貿易フォーラム」で、博鰲(ボーアオ)アジアフォーラムの竜永図・秘書長は「中国が経済のグローバル化に融合するには、加工貿易を発展させることが必要だ。加工貿易は少なくとも今後20年以上は発展していくだろう。加工貿易はゼロ関税であり、世界的に見て最も重要な貿易方式である。加工貿易を現在、大々的に発展させることはむろんだが、加工貿易は今後20年、もしくは30年後も重要な貿易方式になっているだろう」と指摘。

更に竜永図・秘書長は「加工貿易は唯一、現実的な選択だ」と強調し、国内にある加工貿易への批判に反対する姿勢を示した。

その上で竜秘書長は「批判する人は、加工貿易は外国人に稼がせるもので、我々は加工費用しか手にすることができない、と考えている。我々はかなりの期間、多国籍企業のために働く地位に置かれることになるが、これは決して自らのブランドを創造しない、ということではなく、こうした状況は少なくとも20年は必要であるということだ。農民を転業させるに当たっては、加工貿易が最も重要な出発点となる。いかなる国の政府も就業と税収を重要視しているが、就業問題は税収に比べてより重要である。工業化の過程は実は、都市化の過程でもあり、主要な目標は農民を農業から工業へと移すことだ」と強調した。