2004 No.46
(1108 -1114)

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>> 重要文章

 

主だった貿易パートナーとの
貿易に重大なアンバランス

呉 綜 之

EU、日本、アメリカはいま中国の第一、二、三位の貿易パートナーとなっており、この三大経済実体と中国との経済貿易関係が日ましに密接になり、中国の52.3%の輸出品(香港で中継輸出する部分を含まない)の目的地と38.1%の輸入品の輸入先である。中国と日本を含むアジア諸国との貿易額は中国の貿易総額のおよそ半分を占めている。

中国の対EU・アメリカ貿易は巨額の黒字を保っているが、対日本などアジア諸国貿易は巨額の赤字となっている。

対EU・アメリカ貿易は依然として巨額の黒字

中国側の統計データによれば、2003年のEUの対中貿易赤字は500億ユーロ、アメリカの対中貿易赤字は586億1000万ドルである。

近年来、EUは中国の最も重要な経済貿易パートナーの一つとなり、双方の間の貿易額は終始30%以上の速さで増えている。中国とEUは「EUが早く中国最大の貿易と投資のパートナーになる」という戦略的目標をめざして快速に進んでいる。

中国側の統計によると、昨年の中国・EU貿易額が1252億2000万ドルに達したのに継いで、今年1月から8月までの貿易額は1116億4000万ドルに達し、前年同期より36.6%増えた。そのうち、中国の輸出は654億7000万ドルで39%増え、輸入は461億7000万ドルで33.4%増えた。孫永福商務部欧州司司長は最近『財経』誌記者のインタビューに応じた際、この増加のすう勢が続くなら、中国とEU間の今年の貿易額は1500億ドルを突破する可能性があると予測した。

中国の対EU輸出は機械・電子製品とハイテク製品を主とし、ほかに紡績品とアパレル、自動データ処理設備、靴類、スーツケース、玩具、プラスチック製品などもある。中国のEUからの輸入は資本貨物を主とし、次は自動車部品、鋼材、機械・設備、航空機、初級プラスチック、工業原料、輸送設備などである。

今年5月1日、EU加盟国は15カ国から25カ国に増えた。拡大後のEUは日本とアメリカを追い越して中国最大の貿易パートナーとなり、累計額では中国最大の技術供給者、四番目の実際投資者となった。同時に中国もわずかアメリカに次いでEUの第二の大貿易パートナーとなっている。

中国の商品がますます多くEU諸国に輸出され、貿易赤字が持続的に存在するにつれて、近年EUの貿易保護勢力に台頭が見られるようになった。EU諸国は近年しょっちゅう中国製品に対し反ダンピング調査を行い、技術障壁による制限もますます大きくなり、その影響は反ダンピングより大きい。

中欧学会会長、中国社会科学院の欧州問題専門家裘元倫氏は、EUが輸入品に設けた技術障壁は主に技術法規と技術基準が雑多で、その上頻繁に改正し、包装、レッテルと労働者保護に対する要求が厳しく、「グリーン障壁(環境保全と人類健康に対する制限を指す)」の基準が高く、範囲が広く、変化が速いことなどに現れており、同時に国際基準の制定をコントロールし、それに参与するのがなにより好きだと概括している。

しかし、輸入の面では、EUはすべての第三国に対し同一の技術基準を実行しており、中国に対するだけのものではない。孫永福司長は『財経』誌記者のインタビューに応じた際、欧米の先進諸国の技術はわりに先進的で、生活レベルはわりに高く、輸入品に対しわりに高い環境と技術基準を設けているが、これは一方では確かに自国公民の健康と安全を保護する考慮から出たものであるが、貿易保護の要素もあると語った。

孫永福司長によれば、中国の企業はこれに対しまず主動的に適応し、技術基準を高めるべきである。次に、国外と協力し、投資を吸収する方式をとって、国外の先進的な技術基準を直接利用し、導入することができる。このほか、高すぎ、厳しすぎ、はては差別的傾向さえある若干の基準に対し、発展途上国も共同で自国の正当な貿易権力の保護をはかるべきである。

中米両国は世界最大の発展途上国、先進国として、両国間の経済貿易関係にわりに強い相互補完性がある。中米両国は1979年の国交樹立以来、両国間貿易は急速に発展し、当面の貿易額は国交樹立時の50倍に増えた。中国商務部の統計データによると、2003年の中米貿易総額は1263億3000万ドルで、前年より30%増えた。そのうち、中国の対米輸出は924億7000万ドルで、前年より32.2%増え、アメリカからの輸入は338億6000万ドルで、前年同期より24.3%増え、貿易黒字は586億1000万ドルである。2004年1月から4月までの中米貿易総額は494億1800万ドルで、前年同期より36.4%増えた。そのうち、中国の対米輸出は337億2200万ドルで、34.1%増え、アメリカからの輸入は156億9600万ドルで、41.5%増えた。中国側の黒字は180億2600万ドルである。上海税関は今年上半期の中米貿易構造に対し行った統計は、中国がアメリカから輸入した商品の多くは航空機、電子、機械・設備など技術・資本集約型のものであり、ほかにかなり強い国際競争力をもつ農産物もある。中国の対米輸出品は在来の紡績品、アパレルなど労働集約型製品のほか、テレビ、コンピューターなどの機械・電子製品もわりに強い増加のすう勢を見せている。

アメリカの対中貿易赤字問題はずっと両国間貿易の敏感な問題であり、しばしば政治化の傾向が現れる。双方の統計データにかなり大きな開きがあるにもかかわらず、中国は貿易赤字の存在を否定しておらず、またこの問題を解決するため、政府が大型の買付団をアメリカに派遣して買付を行うなどを含めて、いろいろ努力を払っている。しかし、今年の統計データから見ると、アメリカの対中貿易赤字に依然として小幅の増加が見られる。

中国社会科学院研究員の陳宝森氏は次のように語った。アメリカの対中貿易赤字はアメリカの貿易赤字全体の派生物であり、アメリカの貿易赤字はアメリカ国内の総需要が総供給より大きく、長年積み重ねた結果である。それはアメリカのマクロ経済のアンバランスの問題であって、二国間貿易の問題ではない。アメリカが対中貿易赤字が大すぎるため中国からの輸入を停止すれば、その結果はアメリカの貿易赤字を減らすのではなくて、他の国からの輸入を増やして、引き続き赤字を保留し、同時にアメリカの消費者とメーカーの負担を重くする。

陳宝森氏はさらに言葉を続けた。中米貿易は双方に利益をもたらすことができるからである。なぜなら、双方が強みを補完し合えば、二種類の国際分業を形成できる。一つは労働集約型製品と技術・資本集約型製品の分業であり、もう一つはハイテク分野の技術が集約し、付加価値の高い高級製品と労働が集約し、付加価値の低い下級製品の間の分業である。

アメリカが強みをもつ電子、通信、航空、宇宙、先進的な機械製造設備など先端な技術製品の対中輸出に対しいまなお100件以上の禁止措置をとっていることも、アメリカの対中輸出の速度と数量の増加にある程度影響している。中国政府と民間は近年ずっとアメリカにハイテク分野の対中輸出制限を緩めて、アメリカの対中貿易赤字を減らし、それによって生じる矛盾を少なくするようアピールしている。

専門家によれば、中国の対EU・アメリカ貿易黒字問題を短期間に改めるのは難しい。その重要な原因は、欧米諸国の産業構造調整とグレードアップにしたがって、少なからぬ労働集約型産業がたえず中国に移転し、それにともなって貿易黒字も中国に移転してくることにある。アナリストは、これによって中国貿易の輸出量が中国企業の実際輸出量より大きく見えると指摘する。データが顕示しているように、今年上半期の上海開港場の外資企業の対米輸出入総額は142億1000万ドルで、59.6%増え、開港場の対米貿易総額の63%を占めた。対米貿易黒字は57億9000万ドルで、開港場の対米貿易黒字の63.4%を占めた。このほか、外資企業が中国に投資して工場を建て、当地で製品を販売することも、国外の対中直接輸出を相応に減らしている。

対アジア貿易の巨額赤字はなおも増大中

中国の対欧米貿易の巨額の黒字と対日本および他のアジア諸国貿易の巨額の赤字は鮮明なコントラストを形成している。

中国とアジアの各貿易パートナーとの貿易額はずっと中国の輸出入総額の55%以上を占めている。今年1月から5月までの中国の対アジア諸国貿易赤字はいちだんと増大して368億4000万ドルになり、前年同期より82.4%増えた。中国の対アジア諸国貿易赤字は主として日本、インド、韓国、アセアンおよび中国台湾省に集中している。2003年の対上述諸国貿易赤字は954億4000万ドルに達した。

事実上、このようなすう勢は数年前から現れ始めている。統計が顕示しているように、2000年の中国の対アジア貿易赤字は90億2000万ドルしかなかったが、2002年は200億1000万ドルに増大し、翌2003年は503億2000万ドルに急増した。今年はさらに増大すると予測されている。

商務部研究院研究員の李光輝氏は最近『経済参考報』記者のインタビューに応じた際、「中国とアジアの貿易パートナーは依然として良性発展の軌道にのっており、貿易赤字の増大は全体から言って正常な現象に属している」と語ったが、同時に赤字の急激な増大を引き起こす各種要素のうち、「貿易障壁問題を高度に重視しなければならない」とも語った。

中国の対日貿易赤字は2002年から現れ始め、その年は50億3000万ドルであったが、翌年は192.8%へといちだんと増大した。2004年1月から5月までのそれは48億3000万ドルで、前年同期より70.9%増大した。

「中国の対日貿易赤字は日本の対中投資と密接な関係がある。1980年代から1990年代初めまでの期間は中国経済の高速逓増期で、日本の対中投資の増加速度は長年連続して50%前後に達し、投資に使われる機械設備が日本から中国に大量入ってきて、中国の輸入を大いに加速させた。他方では、加工貿易輸出の輸入依存度は平均60%前後である。つまり「中国製」の加工貿易輸出商品のうち60%が輸入したもので、本当に輸出するものが40%しかない。そのため、中国の対日貿易は長い間赤字の状態を保っていた。」

李光輝氏によれば、「日本の貿易保護は中国の貿易赤字を増大させた」。1990年代に入ってから、日本経済が持続的に低迷し、日本の貿易保護主義が台頭し、たえず貿易保護措置をとっている。日本の税関レベルは平均3%とわりに低く、関税面では日本はそれより大きな保護空間がない。そのため、日本は非関税障壁の手段、例えば各種の技術障壁をより多くとっている。

税関の統計によると、1992年に中国が韓国と国交関係を樹立してから、中韓貿易は速やかに発展し、韓国の対中輸出額が倍増したが、中国は連年大きな赤字を出し、しかも逐年増大するすう勢を見せている。とくに1998年以来、中国の貿易赤字は連年当年の対韓輸出総額を越え、2004年1月から5月までの中国の対韓貿易赤字は累計1000億ドルを越えた。

商品需要構造が違うことから、貿易赤字はたえず増大している。中国の貿易赤字は主に化学およびそれと関係ある製品、機械と運輸設備など二大種類商品の輸入から来ている。例えば、2003年はこの二種類商品の貿易だけで中国側の赤字は374億2000万ドルに達し、当年の中国の対韓貿易赤字総額より140余億ドルを越えた。2004年1月から5月までの期間に、化学およびそれと関係ある製品だけで20億7000万元である。

李光輝氏はとくに次のことに言及した。加工貿易が黒字を移転させる要素も無視できない。韓国の対中投資のたえまない拡大につれて、多くの韓国企業は生産と加工貿易を中国で行うようになった。その結果、一は韓国から輸入した原材料と部品は加工後すべて韓国に再び輸出するのではなく、双方の輸出に輸入をアンバランスにしている。二は製品の原産地が変わり、もとの対第三国(例えばアメリカ)貿易黒字が中国に移転した。

李光輝氏は言葉を続けた。「日本と同様、韓国が貿易保護を強化したことは、わが国の対韓貿易赤字を増大させる重要な原因である」。まず現在韓国が輸入調節税を徴収している27種の農産物と軽工業品のうち、主にまたはほとんど中国から輸入するものが17種ある。次に韓国は厳重な技術障壁を設けている。韓国の技術的貿易措置の影響をわりに大きく受けている中国商品は農産物、水産物、畜産品、食品と食品添加剤、薬品と薬品原料などがあり、そのうち新鮮な果物、豚と牛など有蹄類の肉、薬品(とくに配合した漢方薬)などはいまなお韓国に正常に輸出することができない。第三は、韓国が上述の製品と生産物に対しとっている輸入制限措置は主に検査、検疫、安全基準を手段とし、しかも輸入品に対する検疫と検査では中国の商品に対し差別政策をとっている。例えば、中国の農産物に対し6%の比率で抜き取り検査を行っているが、アメリカなどの国から来た同類商品に対する抜き取り検査率はわずか3%である。このような差別的措置は、韓国が中国で入札した商品を輸入する場合、その質と規格に対し、保証金納付などの問題に対するのと同じように非常に苛刻であることにも現れている。

近年は貿易額の快速な増加につれて、中国の対アセアン貿易赤字にも快速増大のすう勢が現れている。2000年の中国の対アセアン貿易赤字は48億3000万ドルしかなかったが、2003年は164億ドルに増大した。

李光輝氏によれば、早期収穫計画の実施およびアセアンの原材料需要増大で中国の輸入が加速することは、対アセアン貿易赤字の快速増大の主な原因である。2002年、中国はアセアンと「中国・アセアン全面的経済協力枠組み取り決め」を締結したが、それによると、10年内に中国・アセアン自由貿易区を設置する予定であり、また中国・アセアン自由貿易区設置の過程で、2004年1月1日から早期収穫計画を実施し始めると規定している。早期収穫計画の実施は中国とアセアン諸国の間の600種近くの農産物に対しゼロ関税を実施するが、中国のこれらの商品の競争力がアセアンより弱いため、早期収穫計画を実施したあと、アセアンの一部諸国の対中輸出農産物貿易に若干の赤字が現れる。

貿易摩擦が頻発

経済関係が日ましに緊密になっているため、近年、中国と貿易パートナーとの間の貿易摩擦も頻繁に発生しており、中国も世界の反ダンピング、反補助と保障措置の最大の被害国となった。

2003年、18カ国・地域は中国に対し反ダンピングと保障措置調査を59回行い、案件にかかわる金額は合計22億ドル近くに達したが、この額は歴年最高のものである。そのうち、1000万ドル以上の大きな案件は15件あり、案件にかかわる金額は1億ドル以上の案件が4件ある。今年第1・四半期に、国外はまたも中国に対し11回の反ダンピングと保障措置調査を行い、前年同期より83.3%増え、案件にかかわる金額は3億3000万ドルで、前年同期より15.6倍増えた。中国の71%の輸出企業は国外の技術的貿易障壁の程度の異なる制限に遭い、39%の輸出商品が程度の異なる影響を受け、170億ドルの損失を蒙った。この額は昨年の輸出総額の5.2%に相当する。食品、畜産品、軽工業品、紡績品、鉱産物、化学工業製品、薬品と保健品など6業種、21種類の輸出商品の輸出が国外の技術的貿易障壁の影響を受けた。

専門家によると、輸出が欧米地区に集中しすぎることは、貿易摩擦が頻繁に発生する重要な原因の一つである。武漢大学政治・管理学院の苗迎春氏は、貿易多元化戦略を一歩進んで実施し、輸出の地区構造を調整し、国際市場占有率を高めると同時に貿易摩擦を減らすべきだと語った。