2004 No.49
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ビエンチャンがもたらした啓示

裴遠穎(前ポーランド大使・現インド大使)

ラオスの首都ビエンチャンは先ごろ世界の注目の的となり、過去類を見ないほど活気溢れる雰囲気に包まれた。東南アジアと東アジアの13カ国の首脳が一同に会し、重要問題を討議する場となったからである。温家宝首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の首脳と会談したほか、日本と韓国との間で3者会談を行うなど、周辺諸国との外交を強化し、東アジアでの協力を促進する上で重大な成果を収めた。

中国の全方位外交において、周辺諸国は重要な地位を占めている。近年、中国と東南アジア諸国の間では、二国間関係の発展のほか、地域協力も強化されており、領土や海洋権益を巡る紛争も適切に処理されてきた。中国は「東南アジア協力条約」に正式加盟し、ASEANとの間で平和と繁栄に向けた戦略的パートナーシップを確立すると共に、「中国・ASEAN自由貿易区」計画を実施していくこととなった。方式の多様化と範囲の広さ、多層的な参与を特徴とする中国とASEAN間の友好協力は大きく進展した。中日韓の多国間協議もASEAN会議への出席を機に始動したことで、3者間の協力及び3者間とASEANとの協力もより促進された。有名な「10+1」(ASEAN+中国)及び「10+3」(ASEAN+中日韓)メカニズムはほぼ形成され、東南アジア圏を目指して発展することとなった。中国は平和で安全、協力的で繁栄した周辺環境を創造するため、絶えず実質的な一歩を踏み出してきた「隣国と仲良くし、隣国をパートナーとする」方針と、「隣国と睦まじくし、隣国を安心させ、隣国を豊にする」というのが、中国の周辺諸国に対する基本政策である。それが意味するのは、周辺諸国と仲睦まじく付き合い、心を一にして共に安全と繁栄を模索し、協力して共に利益を得る、というものである。中国とASEANとの協力の発展は、双方にとって重大な意義を有している。経済的意義から言えば、「10+1」メカニズムの強化によって、経済のグローバル化と域内の一体化の流れに即応できるのみならず、域内の協力は更に次元の高い且つ更に範囲の広いものへと推進されていくであろう。また双方の産業構造や貿易構造、資本構造の合理化、貿易・投資・農業・科学技術・文化・安全等の分野や、国際・地域的な問題における互恵協力が深化して拡大されるほか、東アジアないしはアジアへの協力の拡張が促進されることにもなる。政治的には、関係国は平和で安定した周辺環境を一段と強固にできるため、自国の利益擁護にプラスとなり、より合理的な新たな政治経済秩序の確立が推進されることから、この地域ないしはアジア太平洋の経済発展と政治的安定に大きな影響を及ぼすであろう。

第8回中国・ASEAN首脳会談は「中国・ASEANの平和と繁栄に向けた戦略的パートナーシップに関する共同宣言を実施する行動計画」を発表した。会談終了後、双方は「中国・ASEANの全面的経済協力枠組み協定の商品貿易協定」や「中国・ASEANの紛争解決メカニズムに関する協定」等の一連の文書に署名した。ASEAN首脳は「中国は責任を負う国家であり、信頼に値する国家である。中国の発展はASEANに利益とチャンスをもたらした」と述べた上で、双方が関係協定の実施と共通認識を継続していくことに期待を表明した。中日韓の3者会談も協力を絶えず強化し、共同の発展を促進して東北アジアの安定と発展のため貢献することを決定している。

もちろん、中国とASEAN、そして東アジアとの協力には制約的な要素もある。経済発展の不均衡による利益の格差、産業構造の同一性による競争はある程度、双方にとってチャレンジとなるであろう。だが、各国が心を一にして協力し、困難を克服し、会議の決定に即していきさえすれば、東アジア地域の協力は必ず光輝く未来に向けて歩んでいくことであろう。