2004 No.09
(0223 -0227)

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450億ドルで二銀行の上場にてこ入れ

譚 偉

四大国有銀行は上場を目標に、大なたを振って改革を行っているが、このことは業界の注意力を少なからず集めている。他方、中国政府は中国銀行と中国建設銀行を上場させるため、450億ドルの外貨準備をこの二銀行に注ぎ込み、その資本金を補充した。このことはなおさら見応えがある。この補充資金はすでに2003年12月31日以前に全額二銀行に振り込まれた。

北京大学中国経済研究センターの巴曙松博士はその見方を次のように語った。「国有銀行改革の全過程から見ると、これは中国の四大国有独資商業銀行に対する全面的改革がすでに実施的な段階に入ったことを示している。しかも今回の資本金注込は『無料の昼食』というものではなく、最後の『晩餐』――上場のための事前準備としか言えないのである」。

資本金注入は改革を加速

2003年は四大国有銀行にとっては「改革の年」であると言える。この年に、四大国有銀行は次々と改革案を公表し、機構調整と人員改革を積極的に実施し始めた。中国建設銀行はわれ先に上場という改革の目標を公に発表し、残りの三大銀行も次々と上場の日程表をメディアに発表した。それによると、2004年に中国建設銀行が上場し、中国銀行が体制改革を完了する。2005年に、中国銀行が上場し、中国工商銀行が体制改革を完了する。2006年に、中国工商銀行が上場し、中国農業銀行が体制改革を完了する。2007年に、中国農業銀行が上場する。

四大国有銀行の日程表に上場が盛り込まれたとはいえ、四大銀行は不良資産など多くの面では上場の基準とまだまだ大きくかけ離れており、自身の改造に頼るだけでは短期間に局勢を転換することができない。

巴曙松博士は次のように語った。「長期以来、経済体制改革の面では、金融改革は相対的に言ってかなり遅れているが、金融改革では、国有商業銀行の改革がいちばん遅れている。初期はいくつかの株式制商業銀行を試しに新設する、つまり増量の改革で国有銀行の改革を促し、「外部から圧力」を加え、国有銀行が内部の管理をよくすることに頼り、内部の経営能力に頼って、歴史的に形成された重荷を少しずつ解消することをやってみようと考えたこともあったが、いまから見ると、このような改革の考えの筋道がある程度効果をあげたにもかかわらず、国有銀行の商業銀行化を力強く推進できないことを事実が立証している。ぼう大な不良資産という重荷は四大銀行の負担を重くしているばかりでなく、国有銀行の経営状況に対する客観的な考課、評価をも難しくしている」。

新しい政府の発足後、国有商業銀行はずっと力を入れて改革を行っている。2003年10月に開かれた中国共産党第16期3中総は国有商業銀行の株式制改造という大方向を確定し、中国人民銀行、財政部、銀行監督管理委員会、証券監督管理委員会が各自の機能を発揮し、中央銀行と財政部が財務再建を協議し、銀行監督管理委員会が法人管理構造建設を担当し、証券監督管理委員会が上場を検討すると規定した。会議のあと、国務院は国有銀行改革グループを設立し、黄菊副総理が組長、華建敏氏が副組長、周小川中央銀行行長が弁公室主任にそれぞれ就任した。つづいて、国務院は450億ドルを出して二銀行の国有商業銀行の資本金に注ぎ込んだが、この額はこの二銀行の既存の資本金総額よりずっと多いものである。

周小川中国人民銀行行長は「資本金注入の意義は資本金を注ぎ込むことだけにあるのではなく、中国の商業銀行改革がすでに全面的加速の段階に入ったことを示している」と語った。

政府がとったこの一連の挙動は、銀行の上場を全力あげて支持するという積極的な態度を十分に表明しているが、なんと言っても、国有銀行の規模から見ると、初めての株式発行は国内外の金融市場に並大抵でない影響を与えるだろう。中国が世界貿易機関(WTO)に行った約束によれば、2006年に中国の銀行業が世界に全面的に開放することになっており、株式の上場と発行は四大国有銀行にまもなく直面する外資銀行との激しい太刀打ちにいっそう効果的に対応させることができる。450億ドルの資本金注入は上場する前の国有銀行の株式制改革に力強い支持を与えるものである。

外貨準備による資本金注入は財政支出ではない

国家外国為替管理局スポークスマンによれば、国務院が中国銀行と中国建設銀行が株式制改造を試行し、外貨準備でその資本金を補充することを決定したことは、国の金融リスクを防止、解消し、金融システムを健全にする重要な措置であり、外貨準備の運用の機能と基本的目標に合致する。国際的にも中央銀行の備蓄した資源で金融リスクを解消する面で成功を収めた先例がいくらもある。

同スポークスマンは次のように強調した。「外貨準備を国有銀行の資本金に注ぎ込むことは財政支出ではなくて、一種の資本金投資であり、リターンを伴うものである」。国有銀行の株式制改造はまったく新しい試みであり、出来合いの経験がなく、実践の中で真剣に模索し、各方面の管理と運営をたえず改善する必要がある。試行の銀行に資本金を注入することは国の特殊な政策面の処置であり、一種の長期投資でもある。注ぎ込む資本金は依然として中央銀行の資産であるが、性質が国際金融市場に投資して運営する資金と違うため、この部分の資産は国の外貨準備規模に計上されない。2003年末現在、中国の外貨準備規模は4032億ドル5000万ドルで、前年末より1168億4000万ドル多く、外貨準備が最も多く増えた年である。

国務院は、新に資本金を注ぎ込んだあと、試行銀行に対し外部からいっそう厳格な監督・管理と考課を実行し、新たに注ぎ込んだ資本金の安全を確保するとともに合理的なリターンを獲得するよう要求している。不良資産を処理する時は銀行内部の関係者の責任を厳粛に追及し、銀行の債務から逃がれたりそれを帳消しにしたりする不法行為を厳しく取り締まらなければならない。

伝えられるところによると、この450億ドルの資産を具体的に管理するのは最近設立されたばかりの中央匯金投資有限責任公司で、株主は財政部、中国人民銀行、国家外国為替管理局、公司の董事長は郭樹清国家外国為替管理局局長である。中央匯金投資有限責任公司は中国銀行と中国建設銀行の大株主として、出資者の権利を行使し、投資のリターンと利益配当を手に入れる。

巴曙松博士によれば、中国の財政が相対的に緊張し、外貨準備が急速に増加する今日の背景の下で、この種の外貨準備を利用する形式は国のために巨額の国家外貨準備をよりよく利用する新しい方途を模索し、探し当てることもできるが、はたして金融市場、とくに外国為替市場にどのような影響を及ぼすかは、なおも一歩進んで観察する必要がある。

北京師範大学金融研究センターの鍾偉博士はこう分析する。「今回の銀行への資本金注入は、実際には国の外貨準備を二つに分けることで、資本金として銀行の注ぎ込む部分は私人備蓄と言うことができる。兌換することがないため、人民元の為替レートに影響がなく、国際収支に影響がなく、外資と対外貿易にも影響がない」。

巨額の資金で公司の管理構造を調整

450億元の外貨準備を資本金に注ぎ込んだあと、二銀行はこの「天から降ってきた不当な金」をどう使うか。

この二銀行は資本金注入後の改革の方途と重点を公表したが、二銀行とも改革重点を公司管理構造の調整においている。中央匯金投資有限公司も出資者として、この二銀行の改革諸措置の実施を督促する。

張恩照中国建設銀行行長は1月9日、「225億ドルは以前の不良資産を相殺することに使用してはならず、主として資本市場で価値を保持し増加することに使用する」ことを明らかにした。最近、中国建設銀行のスポークスマンは中国建設銀行の改革の考えの筋道として、「建設銀行が以前に行った漸進式の改革はずっと株主権、管理構造など核心的な問題に真に触れていない。歴史的原因で、建設銀行は資本状況、資産の質、営利能力などの面の格差がまだ根本的に転換しておらず、いまは経営メカニズムと管理体制を改めて確立することが差し迫って必要である。全方位の公司管理改革を実行することは、中国建設銀行の株式制改革が成功を収める最も重要な措置である」と対外発表した。

1月29日、中国銀行も改革のプロセスを披露した。蕭鋼中国銀行行長は次のように語った。「中国銀行は体制改革を通じて中銀グループ株式有限公司に改造し、2005年の完全上場を予定している。上場の前提は銀行内部の再編と改革をりっぱに行うことである。これらの作業が完了する前に、中国銀行は慌てて上場するようなことがない」。同時に中国銀行は元の所有者の権益残高2000余億元を特別準備に切り換え、それを歴史的に残された不良資産の帳消しに少しずつ使用する。同時に蕭鋼行長は、「225億ドルは人民元に兌換するようなことがないし、焦げ付け金の帳消しに用いることもない。国の外貨準備運用と同じように、中国銀行はこの資本金の一部を使って国際的に信用等級のわりに高い債券を購入し、資金の安全を確保する前提の下で、市場から合理的なリターンを得るようにする」と語った。

二銀行の公表した改革のプロセスは方法が違っても目的は同じで、重点はともに公司管理構造をいちだんと整備し、自身の良性の運営と営利を通じて株式制改造を順調に実現することにおかれているのを容易に見て取ることができる。

資本金注入はすぐ効果があがる

資本充足率と不良貸付率はずっと国有銀行の上場を妨害する二つの重要な要素である。国が中国建設銀行と中国銀行に225億ドルずつ注ぎ込んでこの二銀行の資本金を補充した結果、この二銀行の資本充足率は大幅に向上した。

中国建設銀行の関係者は「今回資本金を注ぎ込んだ結果、中国建設銀行の資本充足率はすでに8%を超えて、バーゼル協定の定めた上場の要求に達した」、「不良資産率も2003年末に10%以下に下がった」ことを明らかにした。

二銀行の2003年年報はまだ発行されていないが、記者は公開された数字を見て、中国建設銀行が2003年10月末までに処理した各種不良資産が608億元、回収した資産が358億元に達し、五級分類の基準によれば、同銀行の不良貸付率はすでに11.84%に下がり、四大銀行の中で最低であることを知った。張恩照中国建設銀行行長は最近銀行内で行った講話の中で、昨年末現在、五級分類の基準に基づけば、不良貸付率は約9.28%で、年初と比べて約6.62ポイント下がったことを明らかにした。もし疑問のある貸付を差し引くと、五級分類の不良貸付率は4%以下に下がる可能性がある。2003年末現在、五級分類の基準によれば、中国銀行グループの不良信用貸し残高は3438億元で、前年末と比べて647億元少なくなり、不良比率は15.92%で、前年末と比べて6.45ポイント下がった。

国際的には、銀行上場の不良貸付率に対し明確な規定はないが、普通の状況では、上場銀行の不良資産率は10%以下であり、国際上の優秀な銀行の不良貸付率は2〜3%前後である。当面中国建設銀行はすでにこの目標に達している。

資本金の注入後、基準プル信用等級評定機構は中国銀行と中国建設銀行の「BB+」長期外貨等級評定の展望を安全から正面に高めた。

調べによると、現在畢馬威華振会計士事務所の中国建設銀行に対する会計検査作業はまもなく終了し、中国建設銀行は今年下半期に率先して上場する可能性があるが、同銀行は上場の具体的な時間を明確にしていない。

中国建設銀行が今年順調に上場することができれば、2004年の金融市場は経済学者易憲容氏の言うように、「国有銀行の上場は、疑いなく2004年の国内金融業改革の最大の出来事となる」。