2004 No.02
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四大国有銀行が25万人をカット

譚 偉

国有銀行に就職することは「食いはぐれのない職業につくこと」と見なされてきたが、今や「人員削減」という言葉も中国の四大国有銀行(中国銀行、中国建設銀行、中国工商銀行、中国農業銀行)の改革案に現われるようになった。

2003年11月11日、中国銀行業監督管理委員会(以下銀監会と略称)の唐双寧副主席は、四大国有銀行の「人員削減による効率アップ」について具体的データを初めて明らかにした。これによると、国有四大銀行の人員はたえず精鋭化、簡素化されており、1998年から2002年までの四年間だけでも、4行では県クラス支店1800を含む4万5千カ所の整理、25万人の人員削減が行われた。

唐副主席はまた、「条件の揃った銀行については、国有持ち株の株式銀行への再編、市場化原則に基づく上場も可能となる」と、四大銀行の改革の目標を明らかにしており、人員削減、効率アップ及び上場は四大国有銀行の改革目標実現の三段階と考えられている。

人事面での改革

中国建設銀行の関係者によれば、同行の上層部から一般の従業員に至るすべての人は、かつてなかった人事面での改革を経験している。2003年8月末現在、同行本店の上層部の選考採用が終わり、6名のもと本店部門クラスの責任者が降格となり、9人の課長クラスの責任者が昇進し、省クラス支店の人事改革も同時に行われている。改革の内容には採用制度、賃金制度及び雇用制度などが含まれている。今後、適任でない責任者はクビになり、経営状況が思わしくない支店も撤廃されることになっている。

建設銀行のほか、工商銀行、農業銀行及び中国銀行の人事の改革も系統立てて進められている。工商銀行行長の姜建清氏によると、2000年一年間だけでも削減人数は7万人以上に達し、2002年末現在撤廃された支店は約2万カ所に達したが、赤字を出した支店の撤廃は今後も続けられる、という。

中国銀行は2002年には支店141カ所、従業員5200人を削減したのに続いて、2003年には支店88カ所、従業員5000人を削減した。

銀行筋によると、銀行の簡素化は主に効率が低く、支店が多すぎる地方の銀行、また学歴の低い中高年の従業員を対象に行われたのである。人員削減においては勧奨退職や早期勧奨退職の制度が実施されている。一部の銀行では年度採用制度が取り入れられた。今では銀行はもう「食いはぐれのない職業」ではなくなったのである。

四行の現状

さる11月7日、アジア銀行業の権威ある刊行物『バンカーズ・オブ・アジア』は2003年度アジア大手商業銀行300行を公表した。その中で、中国の四大国有商業銀行のランク付けは、中国銀行は100位、工商銀行は157位、建設銀行と農業銀行は176位となっている。ちなみに、工商銀行と中国銀行の資産総額はそれぞれ5760億ドルと4330億ドル。

『バンカーズ・オブ・アジア』誌のアナリストによると、年に1度のアジア大手商業銀行300行のランク付けは各銀行の財務運営、資産の質、収益改善及び前年度の資産状況との比較という四大要素によって決められるものである。資産規模の順位だけでランク付けをすれば、中国の四大国有商業銀行は恐らくベストテンに入るはずだが、しかし、資産総額はランク付けを行う要素の一つに過ぎない。いまの順位となったのは四行の収益能力がかなり弱いからである。

2003年9月末現在、5段階分類を実行するようになった銀行業では、主要な金融機関の不良債権率は18.7%で、その内訳は四つの国有銀行が21.4%、政策銀行が18.1%、株式制商業銀行が8.4%となっている。これらの銀行と比べると、外資系銀行の不良債権率はずっと低い。例えば、チャータード・バンクとホンコン上海銀行の不良債権率はわずか2.7%と3%でしかない。かなり高い不良債権率は中国の金融機関、銀行、とくに四大商業銀行にとっては重荷となっており、市場での競争力にひびくものとなっている。これからわかるように、上場、特に海外上場の条件では、四大国有銀行はいずれも、自己資本比率が8%を下回らず、不良債権率が10%を超えないという最低の要求を満たしていない。

唐双寧氏は次のように語っている。

WTO加盟時の承諾によれば、2006年には中国は銀行業を全面的に開放し、中国の金融機関と銀行は外資系銀行と公平で平等な環境で競争することになっている。2006年までには、体制改革の深化を通じて中国の金融機関と銀行、とくに四大商業銀行の総合的競争力を向上させることができなければ、外資銀行との間のギャップはますます大きくなり、中国資本の銀行はきわめて大きな衝撃を受けるばかりか、中国の改革と発展のプロセスを遅らせ、国民経済全体の発展に深刻な影響を及ぼしかねない。四行は過去からの重荷を解決すると同時に、先進的な銀行のノウハウを参考にし、各行の実状と結び付けて経営メカニズムの改革を行い、根本から総合的競争力を高める必要がある。

今後の目標――上場

人事の改革のほか、人員削減の背後にある真のねらいである四大国有銀行の上場も人々の関心を集めている。国有独資商業銀行は中国銀行業の主体であり、銀監会が監督、管理する26兆5千億元の資産の中で、四大国有商業銀行の資産は14兆5千億元にのぼっている。長年以来、四大国有銀行は国有重点企業向けの資金貸付を引き受けており、いまでも、国有重点企業への融資額は90%を占めている。しかも、四大銀行は75%の国有重点建設プロジェクトへの融資額を引き受けている。四大銀行の上場が中国金融業に与える影響はきわめて大きい。

2000年5月、当時の中国証券監督管理委員会主席の周小川氏は『人民日報』に文章を発表し、国有銀行は上場する必要があると指摘した。これは中国の政府筋が初めて銀行の上場に奨励と支持の意を示したものと言える。続いて、当時の中央銀行行長の戴相竜氏は「国有独資商業銀行は国有持ち株を維持するという前提で株式会社制への改造を行ってもよい。われわれは条件に応じての銀行の国内外での上場に賛成している」と強調した。上場はその時から中国銀行業の発展の重要な方向と見なされてきた。しかし、四大国有銀行は不良資産と不良債権利率などの面で上場基準とのギャップが大きすぎるため、ずっと上場できなかった。

ここ数年来、四大国有銀行は人事の改革に力を入れるとともに、2002年と2003年には不良資産と不良債権の2年連続の低下を達成し、上場基準とのギャップを縮めた。

伝えられるところによると、四大銀行はいずれも上場計画を打ち出している。建設銀行は2003年2月に他行に先駆けて、上場案を正式に国務院に上呈したが、さらに検討する必要があると国務院から指示された。専門家たちは、建設銀行が法人としてのコーポレート・ガバメント、運営メカニズムなどの改革を強化すべきであり、人事の改革が改革全体のキーポイントであることはもうはっきりしていると見ている。

中国銀行も2003年3月に次のことを明らかにした。2005年においてスムーズに順調上場を果たすために、以下の目標の達成に努めなければならない。つまり、不良資産率は5段階分類にしたがって15%まで減らすほか、自己資本比率は8%、準備金カバー率は45%ないし50%、資本投資収益率は8%、資産投資収益率は0.7%、税引後利益は200億元にそれぞれ達する、というのがそれである。

中国工商銀行は2006年、または2007年に上場することにしている。

資産状況が相対的に劣る中国農業銀行は不良債権比率の低下に全力で取り組む意向を明らかにしたが、具体的な上場のタイムテーブルについては言及しなかった。

国務院は銀行の上場に対し「積極的で着実に進め、盲目的に他行と比べることはせず、条件の成熟次第によって認可する」ということを打ち出した。中国銀監会主席の劉明康氏も国有商業銀行の上場について、「多くの作業を達成するには仲介機構の協力が必要であり、統一したロードマップとタイムテーブルを提出することは不可能であることを市場の経験はわれわれに教えている」と述べている。