2004 No.04
(0119 -0123)

アドレス 
中国北京市
百万荘大街24号
北京週報日本語部
電 話 
(8610) 68326018 
(8610) 68886238

>> 重要文章

 

中国はWTO加盟時の公約を履行しているのか

呉綜之

(その一)

「WTO加盟時の公約により……」という表現は、中国がWTOに加盟した2001年の末から頻繁にさまざまなメディアに使われるようになり、各業種の規定を変更して公告する際よく使われる表現となり、中国の社会生活と経済生活の変化を事前に告げる表現ともなっている。

2003年にこの表現が最後に使われたのは、中国保険監督管理委員会が12月11日に発表した公告の中であった。この公告では、中国のWTO加盟時の公約により、即日より、外資財産保険会社が法定保険業務以外の全ての非生命保険業務を経営することを認めることになり、外資財産保険会社はこの公告により『保険業務経営許可証』変更などの関連手続きをすることができることになり、同時に、福州、廈門、寧波、瀋陽、武漢の5都市を保険業の対外開放都市に指定することになるなどが規定されている。

WTO加盟後の2年間に、中国は全面的に公約を履行し、さらに開放を拡大し、関税を大幅に引き下げ、非関税措置を撤廃し、サービス業の市場アクセスと外国業者の対中投資に対する規制を緩め、法律・法規の改正を大がかりにくりひろげた。

中国政府は何をしたのか

「人々に偏見がない限り、中国政府がWTO加盟時の公約を履行するために努力を払ったことを見取るべきである」、と対外経済貿易大学の張漢林教授は見ている。

中国はWTO加盟後に、特許法、商標法、著作権法、コンピューターソフト保護条例などの知的所有権保護に関する法律・法規を改正し、WTO議定書により、政策の透明度を増やすために、対外経済貿易の方策及びその実施状況を適時にWTOに通報する機構を設立した。また、立法法を制定し、中央と地方の立法権限を明確にし、廉潔かつ公正で、実務に励み、高効率を目指す政府になることを打ち出している。

関税および非関税措置の実質的削減を通して、中国の商品市場はいっそう開放されることになり、平均関税率は15.3%から10%ぐらいに下がり、一部の化学工業製品、オートバイと自動車およびその部品、カメラなどの製品の割当や許可証管理が撤廃された。機械製品を例にすると、2003年1月から9月までの輸入額は前年の522億ドルを上回り、39%増えた。中国は2002年から世界最大の鉄鋼輸入国となり、鉄鋼市場が世界的な不況に見舞われている中、中国は鉄鋼を2910万トン輸入した。自動車およびその部品の輸入額は43%増え、そのうち、完成車の輸入額が84%も激増した。農産物市場もだんだん開放されている。現在、中国の農産物輸入額はアジアの5分の1、世界の20分の1を占めている。

中国はかつてないテンポでサービス貿易分野の対外開放を推し進めている。現在、外資は金融、保険、電気通信、貿易、商業、輸送、観光、仲介サービスなどの分野で、中外合弁企業または独資企業を設立している。2003年6月現在、中国大陸にある外資銀行の営業機構は182社に達し、そのうち、人民元業務の経営を認めたれた銀行は68社もある。外資保険会社の資産総額は150億元に達し、前年同期と比べて50%近くも増えた。国際小売グループも対中投資に拍車を掛けている。

また、公約した時限より早く開放した業種もたくさんある。

2003年7月、JALグループの旅行会社が独資法人として先駆けて中国市場進出を国家観光局に認可された。これは中国が4年繰り上げて公約を全うしたことである。2003年11月1日以降、中国公民は中国政府の認可を得て自費で28カ国および地域に旅行できるようになった。

商業・流通業の開放の度合いは中国の公約よりずっと大きいものとなっている。全国商工業連合会副主席・東方家園理事長である張宏偉氏は次のように語っている。中国はWTO加盟に際して4年間に商業・流通業の全面開放を実現することを公約しているので、この4年間で実力を強化するつもりでいたが、外資がこんなに速く、深く進出してくるとは思いもよらなかった。これまでに、世界の大手小売企業50社の半数以上がすでに中国に進出し、急速に中国のサービス業に浸透し、それを吸収、合併する勢いを示し、中国の企業は大きな競争のプレッシャーにさらされている。

張氏はまた次のデータを挙げた。2002年には、中国の貨物貿易は21%増え、サービス貿易の輸入は15%増えた。2003年には、貨物貿易は41%増え、サービス貿易の輸入は15%以上増えた。「中国は公約を着実に履行していなかったら、中国の輸入の伸びるテンポは世界のトップとなかったはずである」と。

中国進出のテンポを加速

世界上位5位の独メトロ社は2003年11月17日に上海で、向こう5年間に中国内陸部での投資を60億元増やし、北京、大連、広州などの主要都市に40の出店を目指していると発表した。メトロ総裁は、メトロは中国市場をアジアの中心市場に発展させることにしており、このために中国への投資を増やし、今後3〜5年間に中国市場の売上高を世界の10%に引き上げるよう努める、と語っている。

ドイツ最大のホームセンターであるOBI社は2000年に中国に進出し、上海、南京、無錫などの都市に4店舗を開設した。同社の中国地区副総裁の于剣波氏は先般上海で開かれたある会議で次のように語った。OBI社は2004年以降新たな拡張期に入り、2006年までに中国で50店舗、2010年までに100店舗を開設する計画である。

関係筋の分析によると、世界の大手商業企業が期せずにし一斉に中国での拡張計画を速めていることは偶然ではない。中国には世界で最も大きな潜在力を持つ市場がある。エーシーニールセン・コーポレーション株式会社(ACNielsen)の最新発表によると、世界で最も活力のある消費財市場の一つである中国大陸はアジアで2番目の小売市場となっている。

また、世界の大手商業企業50社の70〜80%は中国に進出しているが、その小売高は3兆元という中国の商品小売高のわずか1.2%を占めているだけであり、外資小売業にはまだ中国において大きな発展スペースがある。

中国のWTO加盟時の公約によって、中国はWTO加盟後の3年目に小売業における外資特許経営に対する規制を全部撤廃することになっている。つまり、外資小売業が中国に進出する政策的障壁は2004年に徹底的に取り払われる。そのため、今後の3〜5年間は中国市場が国際市場とリンクするうえでの肝心な時期であり、世界の大手商業企業が中国市場を開拓する絶好のチャンスでもある。

今後2年間に、中国は世界最大の自動車生産企業の米ゼネラル・モーターズ社から車を4500台輸入する。ゼネラル・モーターズは中国で独立したネットワークを作り上げ、来年からキャデラックの販売に乗り出し、一連のサービスを提供することにしている。

この乗用車輸入に関する取り決めは2003年11月13日に米ゼネラル・モーターズ海外販売会社とゼネラル・モーターズ中国会社がデトロイトで調印したものであり、外国の自動車企業傘下の中国企業が結んだ初めての完成車輸入の取り決めでもある。それは、中国にある外国企業が直接輸入貿易と小売り業務に携わることを認めるという中国政府がWTOに対して公約したことが1年繰り上げて全うされたことを表わしている。

輸入取り決めによって輸入される車には、キャデラックCTSとSTS乗用車、キャデラックSRX多目的デラックス車、キャデラックXLRデラックス・レースカーが含まれる。また、中国での現地生産を実現するため、総額約4億ドル、1.3万セットのキャデラック自動車の部品とパーツも輸入される。

同じく2003年11月13日に、上海ゼネラル・モーターズはまた米ゼネラル・モーターズと、今後2年間にビュイック・リーガルとビュイックGL8ビジネス観光バスの生産に使う7億ドル相当の自動車部品とパーツについての取り決めを交わした。このほか、米ゼネラル・モーターズの海外会社はまた中国のいくつかの独立した自動車輸入商社と、ゼネラル・モーターズの自動車約1000台を中国に輸出する取り決めを結び、具体的な車種などはまだ決まっていない。

米ゼネラル・モーターズが今回結んだ対中輸出取り決めは14億ドル相当のものであるという。

これまで、米ゼネラル・モーターズは中国で合弁企業4社、合弁自動車設計センター1社、全額出資企業2社および従業員1万近くを擁している。

専門家の評価

「公平、客観、合理的に中国のWTO加盟時の公約の履行を評価すれば、中国に90点をつけることができ、知的所有権分野における公約履行に対しては少なくとも80点以上をつけることができると思っている」と対外経済貿易大学の張漢林教授は2003年11月25日に「外資企業の知的所有権保護フォーラム」で述べている。

また張氏は、中国のWTO加盟時の公約の履行を評価するには、中国のWTO加盟議定書、中国ワーキング・グループのレポート及びWTOの現行体制に対する分析を踏まえて行うべきであると考えており、次のように指摘している。一部の国際機構及び外国の商会が中国のWTO加盟時の公約履行を評価するレポートに、さまざまな利益グループの考え方を混ぜにしたものがあり、中国の公約した度を超えて履行状況を評価したり、先進諸国の提案した基準で中国の履行状況を評価したりしていることを責めている。WTO体制そのものも絶えず発展しているものであり、幅広い共通認識や合意に達する前に、高すぎる基準で中国を求めるのは、あまり客観的かつ現実的ではない。

ヨコとタテの比較と分析を行ってから中国のWTO加盟時の公約履行を評価してはじめて、公平で合理的なものとなる、と張氏は考え、次のように述べている。

「WTOに対する公約履行の面では、非の打ちどころがない加盟国は一つもないと言える。実を言えば先進国こそ貿易紛争の主体である。先進諸国の間ではWTOルールに違反しあう現象が非常に多く、個別的な現象ではない。したがって、中国のWTO加盟時の公約履行を評価する際には、各加盟国の間でヨコ比較を行うことこそ、公平であると言えよう」

「中国の知的所有権保護を評価する際、中国の特別な国情を考慮するべきである。中国は20余年の期間で多くの国と地域が100年間にわたる努力で達した知的所有権保護のレベルに達した」

事実上、知的所有権保護を実施したため、2002年の国内の特許出願数は37万2000件に達し、前年比24.12%増え、2003年には約24万7600余件にも達している。2002年において、中国は特許紛争を1442件処理し、そのうち、1291件の処理が済んだ。また、商標不法行為の訴訟事件を4万件近く処理した。粗悪品・模倣品取締りの面では、行政と司法の権限を拡大し、2002年に延べ150余万人を動員して粗悪品・模倣品製造・販売業者1万余を取り締まり、人民元22億3000万相当の粗悪品・模倣品を押収した。

国外から非難の声が高い貿易障壁問題について、対外経済貿易大学FDI(国際直接投資)研究センターの盧進勇教授は次のように見ている。「中国はすでにWTOルールに基づいて関税を削減した。いわゆる『非関税障壁』に対しては具体的な分析を行わなければならない」

盧教授によると、「非関税障壁」には「在来のタイプ」と「新たなタイプ型」が含まれている。在来のタイプの非関税障壁の撤廃の面では、中国は割当額許可証の撤廃などを行ったとか、公約をりっぱに履行したこともあって、他の国々の間ではそれほど意見はない。よく取り上げられているのは技術的貿易措置、反ダンピング、反補助など新しい非関税障壁である。

盧教授はこう見ている。新しい非関税障壁には合理的かつ合法的な面があり、WTOルールに認められている障壁である。反ダンピング、反補助などの保護措置は中国だけでなく、その他の国も実施しており、中国はその他の国から学んだのである。WTOの新しい加盟国にとって5年間の過渡期に、一部の措置を使うことは許されているのである。 

中国のWTO加盟時の公約に対する評価は政治的色彩を帯びたものであるべきではない。「一方では、われわれはビジネスの面での紛争に慣れるべきであり、貿易パートナーに不満があることは必然であると言ってもよい。また一方では、われわれは非難に対してまじめに対処すべきである。われわれは自分の問題がどこにあるのかははっきり見出せないときもあるが、傍観者ははっきり見て取ることができる。そのため、人の非難に耳を傾けることはわれわれの仕事を改善することに役立てることができるのである」と盧教授は語っている。

(その二)中国のWTO加盟時の承諾

非関税措置(NTM)

輸入許可証の要求と入札募集の要求は2005年に撤廃され、すべての輸入割当は2005年までに逐次撤廃される。

関税引下げ

工業製品の平均関税は今年に8.9%まで引き下げられる。

農産物の平均関税は15%まで引き下げられる。農産物の輸入と販売は国営企業と仲介機構を通じる必要はない。中国国内の農業補助金の上限は8.5%である。大麦、大豆、なたね油、落花生油、ヒマワリの実油、トウモロコシ油、綿花の実油の輸入関税割当は撤廃される。情報技術製品の関税は2005年に撤廃される。

貿易権

WTO加盟1年後に、外国資本がマイノリティである合弁企業に対して完全な貿易権を付与し、加盟2年後に外資がマジョリティである合資企業に対して完全な貿易権を付与し、加盟後3年以内に中国におけるすべての企業に対して貿易権を付与する。

流通分野

加盟後2年以内に、外資の合弁売却企業の中でのマジョリティ保有が可能となり、地理的制限や数量制限は撤廃される。

卸売業については、書籍、新聞、雑誌、害虫駆除剤、農業用フィルムは3年以内、化学肥料、製品油、原油は5年以内に自由化が認められ、合弁企業は1年以内にすべての輸入製品および国産品の卸売りが認められる。

外国投資企業はその企業が中国で生産した製品を卸売りすることができ、卸売りの製品に対して、アフターサービスを含む関連のサービスを提供する。

すべての省都、重慶、寧波が加盟後2年以内に合弁の小売り企業に開放され、3年以内に地理的制限や数量制限、出資比率規制が撤廃されることとなる。

加盟後3年以内に認められる薬品類・害虫駆除剤・農業用フィルム・製品油、加盟後5年以内に自由化が認められる化学肥料を除き、全ての産品(書籍・新聞・雑誌を除く)の小売りは加盟後1年内に自由化が認められるようになる。

ライセンス

WTO加盟3年後に制限が撤廃される。

交通

自動車道路輸送については、1年後と3年後に外国資本が合弁企業でのマジョリティ保有と100%出資子会社設立が認められるようになる。鉄道輸送については、3年後と6年後に外国資本が合弁企業でのマジョリティ保有と100%出資子会社設立が認められるようになる。

直販については、加盟1年後と3年後に外国資本が合弁企業でのマジョリティ保有と100%出資子会社設立が認められるようになる。

貨物輸送代理

1年後と4年後に外国資本が合弁企業でのマジョリティ保有と100%出資子会社設立が認められるようになる。合弁企業は運営1年後には、支店の設立が認められる。

外資の貨物輸送代理企業については初の合弁企業が運営5年後に二社目の合弁企業の設立が認められる。加盟2年後に、同要求は2年に短縮される。

海上輸送

国際海上貨物輸送と旅客輸送業務(定期船、ばら積み船、不定期航路貨物船など)をたずさわることが認められる。外国資本のマイノリティー保有の合弁企業は中国の国旗を国籍旗として登録することができる。

郵便配送サービス

それぞれ1年後と4年後に外国資本の合弁企業でのマジョリティ保有と100%出資子会社設立が認められるようになる。

国内における一種あるいは多種類の運送方式配送サービスに及ぶことも可能であり、ただし郵政部門の専門経営サービスは除く。

通信とインターネット

付加価値サービス(インターネットサービスを含む)とポケベル業務については、WTO加盟時から、上海、広州、北京において、30%の合弁企業の外資出資が認められるようになる。加盟1年以内に、成都、重慶、大連、福州、杭州、南京、寧波、青島、瀋陽、深セン、厦門(アモイ)、西安、太原、武漢(以下「その他の都市」と略称)が追加され、外資出資上限は49%に引き上げられる。加盟2年以内に地理的制限が撤廃され、外資出資比率は50%に引き上げられる。

移動体通信とデータベース業務については、WTO加盟後、外国資本のマイノリティー(25%)保有の合弁企業は上海、広州、北京および上記の都市の間で業務を展開することが認められる。加盟1年後に「その他の都市」が追加される。外資出資上限は35%に引き上げられる。加盟3年後に、外資出資上限は49%に引き上げられる。加盟5年後に地理的制限が撤廃される。

国内と国際業務については、WTO加盟後3年以内に、外国資本のマイノリティー(25%)保有の合弁企業は上海、広州、北京および上記の都市の間でサービスを提供することが可能となり、加盟後5年以内に「その他の都市」が追加される。外資出資上限は35%に引き上げられる。加盟後6年以内に地理的制限が撤廃され、外資出資比率は49%に引き上げられる。

銀行・金融

すべての地理・顧客に関する制限がWTO加盟後5年以内に撤廃され、慎重性基準に基づいて許可証を発給し、全ての外国銀行の出資比率、業務、法律上の形態を制限する非慎重措置は撤廃され、これには関連ある内部のブランチと許可証に関する制限が含まれる。金融リース業務と自動車ローン業務が自由化される。

外国為替業務についてはWTO加盟時から地理・顧客に関する制限は撤廃される。

WTO加盟の時は、人民元業務は、上海、深セン、大連、天津にのみ限られていたが、1年以内に広州、珠海、青島、南京、武漢、2年以内に、済南、福州、成都、重慶、3年以内に昆明、北京、厦門(アモイ)、4年以内に汕頭(スワトウ)、寧波、瀋陽、西安が開放され、5年以内に地理的制限は撤廃される。加盟2年以内に外資銀行は中国国内の企業に対して人民元業務を展開することができ、5年以内に中国国内の個人の顧客に対して人民元業務を展開することができる。

保険

WTO加盟の時は、外国の保険企業は上海、広州、大連、深セン、仏山で業務を展開することが認められた。2年以内に北京、成都、重慶、福州、蘇州、厦門(アモイ)、寧波、瀋陽、武漢、天津が開放され、3年以内に地理的制限は撤廃される。

WTO加盟以降、外資の比率が51%の非生命保険会社の支店あるいは合弁会社の設立が認められ、2年以内に外資100%子会社の設立が可能となる。加盟以後、外資が生命保険合弁会社の50%の株を占めることが認められる。加盟以後、支店、合弁会社あるいは外資100%子会社としての外資保険会社は生命保険と非生命保険に対して再保険サービスを提供することが可能となり、地理・数量の制限を受けない。加盟後4年以内に中国保険会社への20%の再保険業務は逐次撤廃される。

証券

加盟3年以内に、外資の証券会社は合弁会社(外資が1/3を占める)の設立、A株の受託販売、B株、H株および政府と企業の債券の受託販売と取引が認められる。加盟以降外資の証券会社はB株の国境に跨る取引が認められる。

資産管理

 加盟以降外資のマイノリティー(30%)保有の合弁企業は中国国内における証券投資基金管理業務を取り扱うことが可能となり、加盟後3年以内に外資出資上限は49%まで引き上げられる。

専門サービス

法律については、加盟後1年以内に外資弁護士事務所の経営に関する地理・数量の制限は撤廃される。

会計については、加盟以降、中国の公認会計士資格試験にパスした外国人は内国民待遇を与えられ、つまりパートナーシップあるいは合弁で会計士事務所の設立が可能となり、すでに設立された合弁会社は中国の公認会計士証をもつ会計士以外の会計士を雇用することが認められる。

企業へのサービス

管理コンサルティングについては、加盟以降外国側の合弁企業でのマジョリティ保有が認められ、6年以内に外資100%子会社の設立が認められる。

広告については、2年後と4年後に合弁企業でのマジョリティ保有と外資100%子会社の設立が認められるようになる。

映画・録音・録画については、毎年映画20本を導入し、収入は比率に応じて配分される。合弁会社を通じての録音・録画製品(映画を除く)の発行が認められる。映画館は引き続き外資の49%出資を認める。

建築業

加盟後は外資の合弁企業でのマジョリティ保有が認められ、3年以内に外資100%企業の設立が認められるようになる。

観光業

ホテルについては、加盟以後外資のマジョリティ保有が認められ、4年以内に参入制限が撤廃され、外国資本の100%出資が可能となる。

旅行社については、加盟後3年以内に外資の合弁企業でのマジョリティ保有が認められ、6年以内に外国資本の100%出資企業の設立が可能となり、地理的制限と支店設立の制限は撤廃される。

教育

外資のマジョリティ保有の合弁の学校は小学校、中等学校、高等学校、成人補習教育およびその他の教育のサービスの提供が認められる。

(その三)中国のWTO加盟三年目(2004年)における主な承諾

WTOに加盟してからの三年目(2004年)に、中国はこれまでの二年間の承諾の履行を続ける以外により多くの仕事をしなければならない。中国のWTO加盟議定書とワーキンググループレポートに基づいて、WTO加盟三年目において、中国は次の主な承諾を履行しなければならない。

一、貨物貿易面の承諾

(一)対外貿易経営権

1.対外貿易経営権を取得した中国独資企業の最低登録資本金は100万元((人民元))に下げられる。中国は2003年8月1日に繰り上げて承諾を果たし、西部地区では資本金は50万元(人民元)にとすることができるという優遇を与える。

2.外資のマジョリティ保有の合弁企業は完全な対外貿易経営権を取得する。これはすべての外資企業が完全な対外貿易経営権を取得することを意味するものである。

(二)国営貿易

国営貿易の商品において、原油、製品油の非国営貿易公司に経営される輸入比率は2003年の基礎の上で15%増やす。

(三)輸入関税

中国のWTO加盟議定書の農産物と工業製品に関する関税譲許表に基づいて、関税水準は2003年の11.5%から2004年の約10.6%に引き下げられ、そのうち工業製品は10.6%から約9.8%、農産物は17.4%から約15.8%に引き上げられる。3000余種の輸入製品は承諾にもとづき程度の差はあるが関税を引き下げられることになり、情報技術製品など一部の輸入商品はゼロ関税にまで引き下げられることになる。

(四)割当て、許可証管理

1.一部の商品の輸入割当て、輸入許可証と輸入基準超過を撤廃する。

(1)中国は石油製品、ゴム製品、自動車とクレーン及びその部品、モーター及びその部品など四種類39の税則番号製品に対する輸入割当てと輸入許可証管理を撤廃する。

(2)中国は発電機、ブルドーザー、変圧器、オフセット印刷機、機械設備、テレビ受信設備、船舶など七種類44の税則番号商品の機械・電子製品の特定輸入基準超過についての要求を撤廃し、輸出入経営資格のある企業は自由に輸入することができる。

2.商品の輸入割当ての増加率を高める。

乗用車の輸入割当てを15%引き上げる。

3.関税割当て商品の関税、割当てと非国営貿易の割合を調整する。

(1)関税割当てを実行している小麦、トウモロコシ、米、綿花、砂糖、マメ油、パーム・オイル、なたね油などの製品の割当て以外の関税の税率を引き下げる。

(2)米の輸入関税割当て(中短粒種、長粒種の米はいずれも2003年の232万7500トンから2004年の266万トンに増やす)を引き上げる。植物油の輸入関税割当て(マメ油は2003年の281万8000トンから2004年の311万8000トンに、パーム・オイルは2003年の260万トンから2004年の270万トンに、なたね油は2003年の101万8600トンから2004年の112万6600トンに増える)を引き上げる。砂糖、綿花、羊毛、化学肥料の輸入関税割当て(砂糖は2003年の185万2000トンから2004年の194万5000トンに、綿花は2003年の85万6250トンから2004年の89万4000トンに、羊毛は2003年の27万5750トンから2004年の28万7000トンに、ウールトップは2003年の7.625万トン2004年の8万トンに増やす)を引き上げられる。

(3)国営貿易管理を行うマメ油、パーム・オイル、なたね油、化学肥料の国営貿易の割合は引き下げられ、非国営貿易の割合は引き上げられ。

二、サービス貿易の承諾

(一)情報サービス

 中国国内及び国際基本通信業務 広州と北京に中外合弁企業の設立を認可し、数に制限を加えず、上述の都市内か都市間でサービスを提供し、外国資金の割合は25%を上回らない。

(二)建築業及び関連プロジェクトサービス

建築業及び関連プロジェクトサービス 外国独資企業の設立を認可する。

(三)販売サービス

1. コミッション代理サービス、卸売サービス(タバコと塩を除く)図書、新聞、雑誌、薬品、農薬、農業用フィルムの販売サービス運営を認可しているが、化学肥料、製品油、原油の販売は認可しない。そのほかのものは、制限を撤廃する。

2.小売サービス(タバコを含まない)薬品、農薬、農業用フィルム、製品油の小売を認可しているが、化学肥料の小売は除く。多くの供給業者から仕入れ、異なる種類とブランドを販売している店舗数30以上をもつチェーン店は食糧、綿花、植物油、砂糖、自動車、図書、新聞、雑誌、薬品、農薬、農業用フィルム、製品油、化学肥料などの製品を取り次ぐ場合、外資が持ち株することは認められない。

3.特許経営 制限を撤廃する。

4.固定した場所を持っていない卸売或いは小売サービス 制限を撤廃する。

リースサービス 外国独資子公司の設立を認可する。

(四)金融サービス

1.銀行業

人民元業務 開放をすでに承諾した上海など12の都市のほか、昆明、北京、廈門(アモイ)を開放し、外資系金融機構が中国の企業に本位貨幣サービスを提供することを認める。

 証券サービス 中国国内の証券投資管理業務を行う中外合弁公司において、外資の比率が49%に達することができ、外国証券公司が合弁公司を設立することを認め、外資の比率が三分の一を下回る場合、合弁公司は(中国側の仲介を通さない)A株、B株、H株、政府と会社の債券の引受と取引、基金の設立発起を行うことができる。

2.保険業

生命保険 地理的制限を撤廃し、合弁生命保険公司が外国人と中国の公民に健康保険、集団保険、養老年金保険サービスを提供することを認める。

非生命保険 地理的制限を撤廃する。

保険運営 地理的制限を撤廃する。外資の比率は51%を上回らないものとする。

再保険及び法定保険 強制給付比率は5%とする。

(五)旅行社と観光サービス

外資が半分以上の株権を保有することを認める(中国は繰り上げて開放した)。

(六)輸送サービス

1.鉄道輸送

外資が半分以上の株権を保有することを認める。

2. 道路輸送

外国独資子会社の設立を認める。

3.あらゆる輸送方式の補助的サービス

倉庫貯蔵サービス 制限を撤廃し、外国独資子会社の設立を認める。

要するに、2004年において、中国はWTO加盟時の承諾を引き続き履行し、関税をさらに引き下げ、非関税措置をさらに削減し、市場参入をさらに増やし、サービス貿易の開放分野をさらに拡大することになる。