2004 No.06
(0202 -0206)

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(その二)

内資・外資企業の所得税の
統一は何をもたらすか

太平洋保険グループ公司企画財務部の周奇鋼氏の説明によれば、中国では太平洋保険公司など国内企業の所得税の税率は33%であるが、安聯大衆生命保険有限公司など外資系企業が享受している優遇所得税はわずか15%で、この違いによって、内資・外資保険会社の株主の配当に大きな差が現われている。幸いに、新たな税制改革がすでにスタートしており、内外企業の税率の統一はもう間近に迫っている。

統一後の税率はまだ国家税務総局から公表されていないが、25%と見られている。第十次五カ年計画によれば、新しい税法はまもなく実施されることになっている。

所得税の税率が低いので、同じ利潤を追求していても、外資企業は広告やセールスなどの面で優位に立っている。

不公平な待遇

企業所得税の税法の不統一は、中国の現行の企業所得税制度に存在する最も主要な問題である。つまり、国内企業では「中華人民共和国企業所得税暫定条例」を実行しているのに対し、外資企業では「外国投資企業及び外国企業所得税法」を実行している。内外で違いのある税制と税率によって、国内企業の所得税負担は外資系企業の二倍近くのものとなっている。この優遇政策は多くの地域で実施されている。

安徽省合肥市にある安科光電気・機械有限公司は1994年に創設されたハイテク外資系企業で、創立当初の登録資本は313万7400元で、そのうち外資は62%を占めている。合肥ハイテク開発区は国家クラス技術開発区に属し、地方の税収優遇政策を実施している。そのため、安科有限公司にとっては、名目上の税率は24%とされているが、実際は半減の12%で徴収され、残りの3%の地方税は現地の政府から免除されるということになっている。

中央財経大学の劉恒教授は次のように指摘している。

税収優遇政策は改革開放の初期には外資の誘致に役立っていたが、いまや経済環境はがらりと変わった。税率の違いは企業間の競争に影響を及ぼしかねない。特に中国のWTO加盟後、現行の税制はWTOの提唱している最も基本となる中性原則に背くばかりでなく、その自由貿易と平等な競争の原則にも合わないことが明らかになった。

上海財経大学の胡怡建教授は、内資・外資企業の所得税の統一の機は熟した、と見ている。

外資の導入に響くことはないか

安科有限公司の責任者は、税収優遇は企業がここ数年来急速に発展してきた原因であると次のように説明している。

安科の利潤額は1997年は155万元であったが、1999年は209万元、2000年は675万元、2001年は1121万元にのぼった。

税率が25%に統一された後も、同社は一部の資本を減らすようなことはしないはずである。その理由の一つには外資系企業として税収優遇政策より投資環境のほうをより重視していることにある。もし撤収するなら、これまで払ってきたコストが水の泡となってしまう。もう一つの理由は、外資系企業が中国での経営の中で価格の移転を通じて、かなりの資本移転を実現したということにある。

華東師範大学国際金融学部の潘英麗主任もこの見解に賛成しており、次のように語っている。

中国経済は過度の輸出と過度の外資利用の問題に直面している。国内のミクロ経済の主体の欠如が今後の発展を制約するボトルネックとなっている。

アメリカの対中投資を例にあげると、その資本コストは5%を超えないが、10%という年間投資収益の5%はアメリカへ移されている。昨年2月までのところ、アメリカ側の資金払い込みは410億ドルであったが、中国から移された資金は数百億元にのぼっている。

税務専門家も、外資系企業は価格の移転を通じて上納すべき所得額が実は大幅に下がり、税率の引き上げによる業績への影響は大きくはない、と見ている。

より多くの資本が創業に投入

あまり敏感でない外資系企業と比べて、高い税率を課されている国内企業は税率の統一に大きな期待を寄せている。いま一つの背景には、中国の銀行業の抱える現在8億7000万元以上の預貯金残高は資本に転換できないという事情がある。

北京大学中国経済研究センターの平新喬教授の見方では、税率の統一後、国内企業の税率の引き下げは国内企業にとってチャンスが増えることになる。つまり、税率の統一後、一部の預貯金は創業に投入される可能性が大きい。

新しい税法では、今後、私営企業は個人所得税だけ納めればよく、企業所得税の二重課税は撤廃される。また、地域優遇を主とするというこれまでの政策を変えて、産業政策を主とし、地域優遇を補助とするやり方及び直接減免や減価償却の加速、税控除などさまざまな優遇措置が取り入れられることになる。