王毅駐日大使、慶応大、中央大で講演
今年は中国の抗日戦争と世界の反ファシスト戦争の勝利60周年にあたる。王毅中国駐日大使はこのほど、日本の慶応、中央の両大学に招かれ、両大学でそれぞれ開かれた中日関係シンポジウムで基調講演を行った。王大使は、歴史、現在、未来の3つの角度から中日関係を論じ、「歴史を鏡とし、未来に目を向ける」という新時期における中日関係の重要な指針について、次のように述べた。
中日両国は歴史の移り変わりの軌跡から役立つ啓発、経験、教訓を求め、それによって両国関係の発展の方向を正しくとらえなければならない。中日両国は古くから互いに学び合い、参考にしてきた伝統があり、民間の友好は一貫して両国関係をつなぐ重要なきずなだった。冷戦期間に、両国は社会制度の違いを乗り越えて、国交正常化を実現した。両国は現在、経済の面で優位をもつところを相互に補完し、依存する関係にあり、これは両国の発展と繁栄の重要な促進要素となっている。
歴史を振り返ると、日本軍国主義が中国を侵略したという深い教訓から学び取ることがさらに求められる。特に歴史問題が両国関係発展の障害になっている今日、正しい歴史観をはっきりと堅持することがいっそう重要だ。日本側にとって言えることは、(両国間の)承諾を引き続き謹んで守り、国際社会の共通認識を尊重し、侵略行為を美化したり否定したりする言動を防ぎ、戦争で被害を受けた国の人民の感情を傷つけないようにすべきである。
中日関係の交流史をもう一度復習し、正面と反面の両方から経験と教訓を総括する目的は、長期の視野で中日関係の長期的安定の枠組みを構築することにある。両国関係の歴史的過渡期に協力と互恵の目標を実現するならば、いくつかの基本的な規範と規則を守らなければならない。
(1)中日国交正常化の「出発点」を銘記して、「中日共同声明」「中日平和友好条約」「中日共同宣言」の3つの政治文書の原則と精神を堅持し、いかなる時でも不動のものとする。
(2)相手の変化を客観的に認識、理解し、戦略的誤りの判断が発生するのを防ぐ。
(3)相手の懸念する問題を高く重視し、適切に処理する。
(4)民間友好交流を一層強化する。
(5)両国間の摩擦や相違点に冷静に対応し、話し合いによって解決する。
今年は第二次世界大戦終結60周年であり、これは中日関係にとって非常に重要な意義を持っている。両国が共に努力し、機会をしっかりとらえ、問題を解決し、今年を真の意味で「歴史を鏡とし、未来に目を向ける」年にしたい。真の意味で両国関係の改善と発展の年にしたい。真の意味で中日両国がアジアの団結と協力を共に推進する年にしたい。
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