2005 No.06
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国際提携によって省エネ事業を促進

尚 瑪

「私は西側のビジネスマンを相手にして、世界の大手企業のトップと提携し合いたいと思っています」と中国広東省仏山照明器具株式会社の董事長兼総経理の鍾信才氏は語る。

鍾氏の会社は環境にやさしい省エネ照明器具を製造していることでよく知られており、「中国の省エネ照明器具の王様」と言われている。昨年の電球生産量は8億6400万個に達し、資産総額は24億1300万元で、利潤は2億元を上回り、国内業界のトップとなっている。実は、この工場は鍾氏が1979年にこの会社の前身の仏山電球工場の工場長に任命されたときに、全国の電球生産企業100社の中で一番下にランクされていたのである。

鍾氏は西側諸国の品質管理や環境重視、持続可能な発展を徹底するやり方に非常に感心している。そして「われわれは世界の最新省エネ技術に非常に留意しており、それを導入するとともに自らも開発に取り組んでいる。こうすれば、市場の先頭を行くことができると信じている」と語っている。氏の所在する都市のある工場はアメリカに輸出した電球が省エネ型製品でないということで返品された。このことに氏は大いに揺さぶられた。それで、氏は、中国の照明器具業界でのトップとなり、環境にやさしい省エネ照明器具開発の面で何かしなければという強烈な願いが生じるようになった。

メタルハライドランプは世界で最も流行っている3世代のランプであり、21世紀の環境にやさしい照明器具の目玉商品と見なされている。鍾氏は300万ドルを投下してアメリカの生産設備を導入し、2002年に正式に生産に入った。現在、年間生産量は50万個であり、年間生産額は2500万元(312万5000ドル相当)に達している。

昨年、鍾氏の会社は再び国内の主要なメディアに注目されるところとなった。仏山市国有資産監督管理委員会は自ら保有している仏山照明器具株式会社の23.97%の国有株を全部外資企業に譲渡した。そのうちの13.47%はシーメンスに属している世界で3番目の照明器具メーカーのオスラムに、残りの10.5%は香港佑昌灯光器材株式会社に譲渡した。被譲渡側は純資産より30%を上回る価格をつけたかったという。客観的角度からも主観的角度からも、外国企業との提携は中国の省エネ事業に寄与することになる、と言う専門家もいる。

また、中国のエネルギー利用率の向上をめざす国外との提携はより大きな範囲で進んでおり、積極的な成果をあげている。地球環境基金(GEF)は、中国が省エネ製品を普及させるための「省エネ情報伝播センター」を設立することに寄付金を提供した。世界銀行も中国のいくつかの省エネ・モデル・プロジェクトに融資を提供した。

中国はエネルギー消耗の大国であり、エネルギー節約の面で毎年大きな成果をあげているものの、エネルギー利用率は国際先進レベルと比べて10ポイント低く、主要製品のエネルギー消耗率は25〜90%高いことが調査でわかった。「エネルギー危機」によって、かつて無視されてきた省エネの課題が重視されることになり、「省エネ」は初めて「国のエネルギー発展計画」に第一義的地位に置かれることになった。

国内経済の急成長によってもたらされた需要の刺激によって、立ち遅れた技術や効率の低い、消耗の激しい生産手段と民用施設がいまでも急増しており、現状から見ても将来から見ても、中国の省エネ市場は非常に大きいものである。これも「省エネ情報伝播センター」が数年間だけで70余も普及したことに裏付けられている。ほとんどのものは既定の省エネ目標を達成し、投資回収の所要期間は1年から1年半で、その中にはわずか3カ月か4カ月という短いものもある。また、投資額もそれほど大きくないので、投資機構と企業が提携する可能性も大きい。普通の企業なら、資金回収の所要期間は約7、8年間といわれている。

最近、アメリカの投資アナリストは大量の実例を研究することによって、省エネ投資による収益は企業の生産拡大による投資収益を上回るとの結論を引き出した。実は、しのぎを削るような市場競争の中で、中国の企業、とりわけエネルギー消耗の激しい企業はコストダウンのためにエネルギー消耗の抑制に取り組んでいる。企業は自ら進んで資金を投下し、国外の先進的なノウハウを導入したり、国際協力を展開したりして生産技術の改造を行っている。武漢鉄鋼工場は2002年に30億元を投下して省エネ技術を改造した。現在、生産高は200万トン増えたが、エネルギー消耗はほとんど増えていない。江西省のある石油化学工業企業は国内外の専門家を招請して技術改造を行ってもらった結果、原油の年間産量は200万トンに上がっているが、燃料消耗は10万トン下がり、エネルギー利用率が大幅に向上した。専門家の推定によると、中国のエネルギー効率が1パーセント向上すると、それによる収益は130億元増えることになる。

世界銀行とGEFおよび中国発展改革委員会は1998年から「中国省エネルギー促進プロジェクト」の実施に協力を始めた。世界銀行とGEFの資金と技術を活用し、中国で「契約によるエネルギー管理」という省エネメカニズムを推し広め、省エネ技術の産業化、市場化への転換を促進することが核心的内容。このメカニズムに基づいて運営する省エネサービス会社(ESCO)はユーザーとサービス契約を結び、エネルギー効率の測定、省エネプロジェクトの設計、プロジェクトのファイナンス、原材料の購入と設備の購入・取り付け、施工、人員のトレーニング、設備の保守・修理、監視・測定など一連のサービスを提供するだけでなく、ユーザーのためにリスクを負担している。同時に、ユーザーの省エネによる利益をも分かち合い、技術サポートを適時に提供することになっている。

現在、省エネサービス会社はすでに北京、遼寧、山東の3地区に設立され、数百に上るサービス契約を結び、投資収益率はほとんど25%を上回り、中には41%に達したものもあり、投資総額は6億元で、8億2000万元の投資収益を分かち合うことになっている。

調査によると、国外の省エネサービス企業と投資者は中国のような激しい競争が存在しないところをねらっている。アナリストの分析によれば、中国で省エネの国際協力と投資の潜在力がもっとも大きい分野は工業であり、廃熱、廃ガスなどの回収、電機駆動システムの採用、ボイラーやかまどなどの改造、工業用ボイラーの効率の向上、エネルギー管理システムの改造、絶縁器具や暖房の改造、照明設備の改造などの面で大きなマーケットが存在する。いま一つの分野は商業と民用住宅であり、照明、熱湯の供給、暖房、冷房などの市場も大きい。向こう20年間に、建物への省エネ投資によって節約できるエネルギーは少なくとも標準炭1億トンに相当することが研究の結果で明らかになっている。世界銀行・GEF「中国省エネ促進プロジェクト」オフィスの王樹茂主任は、中国の投資市場にとって、省エネ産業はきっと新しいビジネスチャンスとなるに違いないと見ている。

中国政府は早くも10年前から「中国の温室化ガス排出減少戦略」をめぐって世界銀行、GEFと合同研究を繰り広げてきた。王樹茂氏も責任者として研究に参加した。氏によると、当時、15の主要な工業部門の省エネルギーと温室化ガス排出減少の潜在力に対し分析を行ったところ、潜在力が非常に大きいことが分かった。技術的に成熟し、企業の経済力で成し遂げることができる省エネプロジェクトが社会的にたくさんあるからである。「大きな省エネプロジェクトは、中央財政と地方財政の予算によって解決される可能性はないが、省エネサービス会社によってエネルギー管理の方式で解決するのが最善の策である」と氏は見ている。

「新興の省エネサービス会社のために融資保証金を提供するため、『中国省エネ促進プロジェクト』はすでに中国経済技術投資保証株式会社に保証金2200万ドルを注入した」。

中国で「契約によるエネルギー管理」を全面的に推し進めるには、社会全般がともに省エネサービス会社の発展のために望ましい外部環境を整える必要がある。つまり、人々が認識を高め、企業が信義誠実を重んじ、国が税収政策を調整するなどである。社会全体が省エネの意義を理解してこそはじめて、省エネ産業は中国で大発展をとげることができる、と専門家たちは見ている。

最近、国家発展改革委員会エネルギー研究所エネルギー効率センターの鬱聡主任は次のように述べている。中国は2010年のエネルギー目標を次のように設定した。エネルギーの総需要量は21〜22億トン標準炭に相当し、エネルギー消費構造における石炭の比率は65%前後に下がり、石油消費量は3.8億トン前後に、天然ガスの消費量は1000億立方メートル以上に、水力発電は1.6〜1.8億KWに、原子力発電は1500万KWに、風力発電は1000〜1200万KWに達する。われわれはこのためにより多くの国際協力を必要とすることになる。