2005 No.13
(0321 -0327)
 

アドレス 
中国北京市
百万荘大街24号
北京週報日本語部
電 話 
(8610) 68326018 
(8610) 68886238

>> 国際評論

平和と繁栄、協力を提唱

---- 李肇星外交部長、中国の外交活動について語る

小 丁

李肇星外交部長は 3 月 6 日に行った第 10 期全国人民代表大会(全人代)第 3 回会議の記者会見で、中国の外交活動や国際問題、地域問題などについて内外記者団の質問に答えた。以下は李外交部長の発言内容。

人民のための外交について

この一年間、中国外交は国の発展と人民の生活改善のため、平和で安定した国際環境を創造しようと力の及ぶ限りの努力をしてきた。中国外交は 中国人民に貢献するだけでなく、世界の人民に貢献するものでもある 。中国外交の目標は、 平和を求めるのであって戦争をするのではなく、繁栄を求めるのであって貧困を生むのではなく、調和を求めるのであって互いに対立するのではない、ということだ。中国政府は平和的手段で国際紛争を解決し、地域の重要な問題の解決に真しに参与する姿勢を堅持しており、世界において友人やパートナーは増え続けている。

中国の外交官は独立自主の平和外交政策を堅持しており、外交が人民に貢献するというのはつまり、祖国の発展と人民の福祉のために平和で安定した国際環境と周辺関係を創造すると同時に、 中国の公民と機構、法人の合法的権利の擁護に尽力するということである。政府はすでに海外の機構と公民の保護に関する 閣僚級の会合制度と、在外大使館や領事館が指揮を取り、在外代表機構が協調・協力するメカニズムを確立した。同時に、政府は人民の意見と提案に耳を傾けることで外交活動に人民の意志をより反映させることにも注意を払っている。

六カ国協議について

中国側は関係各方面とくに主要当事国が責任を担い、誠意と忍耐力を示して交渉を一日も早く再開させるとともに、進展を遂げるため尽力するよう望んでいる。

どんなに困難であろうとも、中国は客観的かつ公正な態度で平和を勧め、交渉を促していくつもりである。

中国は朝鮮半島の非核化と平和、安定を目標にすることを堅持すると同時に、朝鮮民主主義人民共和国の理にかなった関心にも配慮すべきだ主張してきた。六カ国協議は対話を通じて朝鮮半島の核問題を解決する現実的な選択であり、各方面の共通の利益に合致するものでもあり、継続していくべきだ。

米国と朝鮮民主主義人民共和国は共に主権国家であって、朝鮮半島の核問題においては、まさに両国が主要当事国であり、当面の急務はこの二つの主要当事国が相互理解と信頼を深めることである。

中国は各方面が、朝鮮半島の非核化の実現と平和と安定の維持にプラスになるよう共に努力して六カ国協議を再開させるよう呼び掛けてきた。朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者も朝鮮半島非核化の目標を堅持するものと確信している。

「反国家分裂法」の制定について

全人大が「反国家分裂法」を制定するのは、「台湾独立」勢力が危険な行動に出て、台湾海峡の平和を破壊することを防止・抑制し、大陸と台湾が共に一つの中国に属する現状が変わらないようにするためである。

「反国家分裂法」は、われわれは最大の誠意をもって、最大の努力を尽くして平和統一を目指す、という将来にわたるかつ一貫した立場を具体的に示すものであり、全中国人民が国家主権と領土保全を擁護し、「台湾独立」勢力がいかなる名目であれ、いかなる方法であれ台湾を中国から分離させることを決して容認しない、という共通の意志を表明するものでもある。

この法律の制定は中国人民、中華民族の根本的利益に合致し、両岸関係の安定と発展にプラスとなり、アジア太平洋地域の平和と安定、ひいては全世界の平和と安定、繁栄にもプラスとなり、必ず国際社会からより多くの理解と支持を得ることができるだろう。

台湾分裂勢力がそのいわゆる「台湾独立」を行うため、いわゆる「ドル外交」をいとわないのは、一種の「賄賂外交」を行っていることでもある。多くの有識者はこれを一種の腐敗行為だと指摘している。

対中武器売却について

中国は平和の発展に尽力している。発展途上国として実際には、それほど多くの価格の高い、何ら役に立たない武器を購入する金は有していない。このように、時代遅れで、実用性もなければ、メリットもない武器禁輸措置を維持することと、 EU との全面的な戦略パートナー関係とは釣り合いの取れるものではない。

率直に言えば、中国が反対しているのは政治的差別なのだ。

日米軍事同盟について

日米軍事同盟は冷戦時代の特殊な背景の下で形成された二国間協定で、当然、二国間の範囲内に厳格に限定されるべきであり、それから逸脱すればアジア諸国の不安を引き起こすのは必至で、地域の安全に複雑な要素をもたらすことになる。

台湾は中国の一部で、台湾問題は中国の内政であり、台湾を直接または間接的に日米安全協力の範囲に組み入れることは、いずれも中国の主権に対する侵犯であり、中国の内政に対する干渉でもある。中国政府と人民は断固として反対する。

釣魚島を巡る紛争について

釣魚島の問題は実のところ簡単だ。釣魚島と付属する島々は古来中国の領土であり、中国はこれについては争う余地のない歴史的証拠と法的証拠を有している。いかなる巧言令色をもってしても、いかなる外国の一方的行動をもってしても、この基本的事実を変えることはできない。中日双方には釣魚島の主権帰属を巡り相違があるが、中国側は事実を尊重した上で、協議を通じてこの 問題を解決し、この問題が中日関係の健全的な発展にとって障害とならないよう主張してきた 。

長期にわたり中断したままになっている中日首脳間の往来については、ハイレベルの相互訪問に向けたふさわしい環境づくりに取り組んでいく必要がある。ここ一、二年来、中日両国の指導者は多国間の場で何度も会い、とても良い会談をしてきた。

今日の中日関係は両国の数世代にわたる指導者、政府、人民が長きにわたり努力してきた賜物であり、得がたきものであり、大切にすべきだ。中日両国と人民は子々孫々にわたり友好を続けていくものと確信している。中日双方は両国人民の根本的利益に立って、「歴史を鑑とし、未来に向かう」という精神をもって、両国の関係を発展させていかなければならない。

中米関係について

中米関係は絶えず進展を続けている。両国には幅広い共通の利益があるからだ。両国は多くの分野で互恵協力を行い、両国人民に幸せをもたらすことができるだろう。

中米関係の健全な発展を確かなものにするには、長期的かつ戦略的な視点が必要だ。先ずこうした視点に立って、両国関係における最も敏感な問題、つまり台湾問題に対処しなければならない。このためには両国間の三つの共同コミュニケの原則を厳守し、平等に接し、共通点を求めて相違点を残して、両国人民の利益の共通点を拡大していかなければならない。

反覇権主義について

中国は覇権主義に反対し、平和と多国間主義、国際関係の民主化を提唱している。

現在、世界の主要なテーマは平和と発展であるが、覇権主義がそれを脅している。ここで、皆さんと一緒にケ小平氏が何年も前に語った言葉を振り返ってみたい。「われわれは独立自主の平和外交政策を堅持し、いかなる集団にも参加せず、誰とでも往来し、誰とでも友人となり、覇権主義を唱えようとする者には反対し、他国を侵略しようとする者には反対する。われわれは公正に言いを語り、公正に事を運ぶものである」

外国訪問について

胡錦涛国家主席が年内に、韓国・釜山で開催される APEC (アジア太平洋経済協力会議)首脳会合に出席する。また、 今年は国連創設 60 周年を迎え、ニューヨークの国連本部で盛大な記念イベントが行われる予定ため、アナン国連事務総長が 胡錦涛 国家主席の出席を何度も熱心に打診してきており、招請を受けて出席する可能性もある。

専門家の目から見た記者会見

中国外交学院の曲星副院長は、李肇星外交部長の記者会見の印象について以下のように語った。

最近の李肇星外交部長の記者会見には、以前とは明らかな違いが二点ある。一つは西側諸国が関心を寄せる問題が変わったこと。いま一つは人民のための外交的色彩が濃くなったことだ。

それまでの記者会見では、西側諸国の記者が最もよく質問したのは人権や不法移民、兵器拡散などの問題だったが、今回の記者会見でこうした質問をした外国人記者は一人もいなかった。

内外の記者たちが寄せる関心が変化したのは、発展が加速するに伴い、中国の影響力がますます増大してきた、という新たな情勢を示すものであり、中国が国際協力と安全などの面でますます重要性を増す役割をいかに発揮するか、中国の発展は世界にとって何を意味するかに、ますます世界の注目が集まってきた。これは今までより次元の高い関心だ。

李外交部長は記者会見で「人民のための外交」の理念を詳細に説明した。その発言には、中国外交の人民のための色彩が濃くにじんでいた。ますます多くの企業や公民が世界に向けて歩み出すに伴って、遭遇する問題も増え続けている。海外にいる中国公民の合法的権益をいかに保護するかが、大使館や領事館など在外公館が直面する重要な課題となってきた。

中国外交部はすでに迅速に対応できる体制を整えており、緊急事態が発生した場合に即刻、救助を求める電話を公表するとともに、現地の外交機関も迅速に現地政府や関係機関と協議し、中国公民の合法的権益が侵害されないようにしている。中国公民の海外での権益擁護は多くの政府機関に関連するため、在外大使館や領事館、各機関の海外事務所が協力・協調するメカニズムを確立した。これにより、緊急事態処理の効率が確保できるようになった。

人民のための外交は、中国公民に対するだけでなく、他の国と地域への援助にも表れている。