2005 No.14
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低水準の国防支出

中国は主に軍人の社会保障と国防の近代化推進に充てるため、2005年の国防予算を増加させた。

倪延碩

国防予算の増加はすぐさま国際社会の関心を引き起こし、記者会見が開かれる度に国防・軍隊整備の問題に関する質問が相次いだ。財政部が3月5日に第10期全国人民代表大会(全人代)第3回会議に提出した予算報告によると、今年の軍事支出は前年比12.6%増の2446億5600万元に達する。

姜恩柱・全人代スポークスマンは3月4日の記者会見で「今年の国防費の増加分は主に軍人給料の適度な引き上げや社会保障の推進、軍隊の体制及び構造の調整と改編、また軍隊の人材養成と装備費の適度な追加、国防の近代化推進などに充てる」と説明した。

これより前、温家宝総理は2003年に提起した軍人20万人の削減計画を年内に実現すると表明している。更に姜恩柱スポークスマンは「20万人削減の決定により、一部経費は退役軍人の再就職にも充てる」と語った。

「中国が実施してきたのは防衛的な国防方針……ただ、1つの事実だけを説明したい。つまり百年近くの間、中国人は侮辱され続けてきたということだ。今日に至るまで、中国はいかなる国にも軍隊を派遣しその領土を占領したことはない」。温家宝総理は3月14日の記者会見でこう強調した。

李肇星外交部長は3月6日に行われた記者会見で、国防予算が年々増加していることに周辺地域が憂慮している問題について「いわゆる『中国威脅論』はまったく根の葉もないものだ」と厳しく反論した上で、「米国の国防支出は中国の17.8倍である」と述べ、「中国外交の出発点は平和を擁護することだ」と強調した。

姜恩柱スポークスマンは更に「中国の国防費は他の大国に比べ水準は低い。今年の国防予算額は他の大国よりかなり低いもので、財政支出と国民総生産(GDP)に占める割合も低い)と説明。

政府は国の経済発展と財政収入増の下、国防費を毎年適度に増加させてきた。2002年のGDPは10兆5172億3400万元、同年の国防費は1707億7800万元。2003年のGDPは11兆7251億9400万元、同年の国防費は1907億8700万元に達した。 

ここ2年来、国防費がGDPと財政支出に占める割合はほぼ同じだ。90年代以降ほとんど毎年、国防費の伸び率は国の財政支出の伸び率を下回っている。

一部西側の大国に比べても、国防費がGDPと財政支出に占める割合は低い。2003年を見ると、国防費は米国の5.69%、日本の56.78%、英国の37.07%、仏の75.94%に過ぎない。

中国のほか、多くの国が2005年の国防予算を大幅に増加させている。米国の「2005会計年度国防法案」によると、国防予算総額は4220億ドルで、前年度に比べ5.16%、207億ドル増加。このような巨額の軍事費は世界のその他の国の予算総額に相当し、史上最高を記録した。

またロシア議会は2004年末、前年度比27.6%増の総額1870億ルーブルにのぼる2005年度国防予算法案を採択。インド政府は2月28日、2005〜2006会計年度の国防予算は8300億ルビーに達すると発表した。前年度予算7700億ルビー(約167億ドルに相当)を7.7%上回る。国防部新聞弁公室の張邦棟主任は、外国から常に注目される国防費について「1995年から発表している白書『中国の軍備抑制と軍縮』が客観的に説明している。2002年の国防白書には、1995〜2001年にかけて、国防費のGDPに占める割合が上昇する傾向がはっきりと反映されている。外国のメディアが国防費の増加分に特に関心を寄せている状況に配慮し、増加の理由について具体的な説明を付け加えると共に、軍隊での食費基準や給料、手当ての伸び率などに関するデータも提供している」と強調する。

2004年12月27日に国務院新聞弁公室が発表した国防白書は世界に対し再度、中国の国防整備について透明かつ真摯に紹介している。「これは我々の誠意と事実を求める姿勢を具体的に示したものであり、世界から前向きな反応を得た」

4度にわたり国防白書の編さんに携わった中国人民解放軍軍事科学院の陳舟研究員は「1998年以来発表してきた4部の国防白書は、新たな安全観と防衛的国防政策に変化はないが、開放された透明な姿勢や情報開示の深さと広さに関して言えば、ますます率直かつ直接的になりつつあり、著しく進歩した」と話す。

1998年に公式に発表された白書『中国の国防』は、「発展と協力の強調」を基調に、「相互信頼・相互利益・平等・協力」という新たな安全観を提唱。白書は、80年代に100万人を削減したのに続き、1997年9月、今後3年内に更に50万人の削減を決定したことについて詳細に説明している。

1999年にコソボ戦争が勃発し、在旧ユーゴスラビア中国大使館が爆撃された。台湾の李登輝は公然と「二国論」を打ち出し、両岸関係は急速に悪化した。このため、2000年国防白書の論調は非常に激しいものとなった。「世界の不安定と不確定要素は明らかに増大しており、天下は依然として太平ではない」。台湾問題に関する記述は厳しく、李登輝を名指ししている。

2000〜2002年にかけては、「9.11」テロ事件によって反テロへの協力が世界のテーマとなった。今度の国防白書は「緩和・協調・積極性」を際立たせると共に、国防政策は国益に依拠して制定することを初めて提起した。

「台湾独立」が再び高まり、アジア太平洋地域の安全がより複雑になっていることを背景に、新国防白書の論調は再び激しさを増した。

白書は「覇権主義と単独行動主義の傾向は一層強まり、戦略的要地や戦略的資源、戦略的主導権をめぐる争いが頻発している」と論評している。

陳舟研究員は「白書は平和と発展という時代のテーマを肯定するとともに、不安定かつ不確定の要素を際立たせている。2年来、とくにイラク戦争勃発後の国際情勢の変動の深刻さと複雑さも十分表されている。もう1つ深く考えさせられるのは、中国の自信がますます強まっていることだ」と指摘した上で、「中国の経済力と外交活動は、世界の将来の発展に多少なりとも影響を与え始めた」とする一部メディアの分析に賛同の意を示した。