2005 No.16
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唐家セン国務委員、岐路にさしかかっている中日関係を語る

唐家セン国務委員は4月12日、日本の共同通信の山内豊彦社長と会見し、次のように語った。

中日関係は歴史的な岐路にさしかかっている。ここ数年らい、中日関係は望ましくないことにぶつかっているが、中国政府は対日政策を変えることはない。

中国政府は日本との友好協力と関係の発展を重視している。昨年、胡錦涛主席と温家宝総理が小泉首相と会見した際にも、両国の平和共存、世々代々の友好、互恵協力、共同発展を願うことを表明した。

これらの原則の導きのもとで、中国は日本の繁栄、発展を期待しており、国際社会においてさらに積極的な役割を果そうとする願いも理解している。

温家宝総理は3月14日、第10期全国人民代表大会第3回会議閉幕の際の記者会見で、中日関係を改善する3つの原則と3つの提案をおこなった。

中日関係の現状と目標の間には大きなギャップが存在している。現在、状況は非常に複雑で厳しい。この状況はなお続いている。

歴史問題と台湾問題は中日間に存在する主な問題である。この二つの問題は中日間の政治的基盤と密接なかかわりがあり、中日関係の発展に大きな影響を及ぼしている。このほかにも領土と領海をめぐる紛争も顕在化し、国民相互間の感情も日増しに悪化している。

以上の問題はいずれも中日関係の発展を阻害し、しかも中日関係をさらに望ましくない方へ向かわせかねない。それにもかかわらず、改善の可能性がないわけでもない。今年は中国人民の抗日戦争勝利60周年にあたる年で、中国政府には中日関係を改善し発展させる誠意と決意があり、日本政府の協力と努力も必要としている。

中日両国は近隣の国として、協力すれば両方がともにそのメリットを得ることができるが、衝突すれば両方がともにその害をこうむる、ということはすでに歴史によって立証されている。

これまでの進展が非常に得がたいものであることを意識するよう、内情を知る者に期待がかけられている。双方は終始友好という大きな方向を堅持し、相手側を協力パートナーと見なし、競争相手と見なさないようにしてもらいたい。

双方は存在している問題を適切に処理し、引き続き協力を強化し、共同の利益をさらに拡大し、地域と世界の平和と発展をともに促進するよう望んでいる。

日本の台湾問題における政策に強く反対する

中国は、日本の台湾問題における一連の否定的な政策に強い不満を覚え、特に日本と台湾の安全面の関係に注目している。

台湾問題は中国の国家主権、国家統一と根本利益にかかわるものであり、日本政府も日中共同コミュニケの原則を順守し、台湾独立を支持しないことを繰り返し表明している。

台湾独立に反対し、台湾独立勢力の分裂活動を阻止することは、中日とアジア太平洋におけるその他の諸国の共同利益に合致する。日本政府は台湾海峡両岸の現状の複雑性と敏感性及び台湾独立の危害性を充分に認識しなければならない。日本政府が実際の行動をもって台湾独立に反対し、両岸と地域の平和と安定を維持するという承諾を履行するよう期待している。

靖国神社参拝が障害に

中国の指導者は日本政府首脳が靖国神社を参拝することが難しい問題となっていると考えている。特にこの二つのアジアの国が歴史教科書と東中国海の問題で不和に陥っている時にはそうである。日本政府首脳は靖国神社を参拝することは中日両国間の最も突出した問題となっている。そして両国のハイレベルの往来がいまだに実現できないという結果をもたらしている。もしも、われわれが両国関係の改善を望むならば、靖国神社参拝の問題は避けて通ることはできない。この問題は適切に、できる限り早く解決すべきである。日本の政府首脳自らがこの両国関係の全面的な改善にむけて政治的決断をすべきである。アジアの近隣諸国は現在、日本政府が新しい歴史教科書を採用したことに賛同していない。中国はこの教科書を戦時の残虐行為を美化するものと見ている。この教科書問題の核心は日本がその軍国主義時代の侵略の歴史を正しく認識し、対処できるかどうかであり、またその若い世代に正しい歴史認識を教えることにもかかわる。日本の教科書問題における立場は日本の将来、ならびに世界の人々の心の中の日本に対するイメージとかかわるものである。

東中国海の問題について

紛争を棚上げし、共同開発に取り組むことがこの東中国海をめぐる中国と日本の間の唯一の正しい選択である。両国が対話と話し合いを通じてこの問題をめぐっての食い違いを縮小することを願っている。

中国と日本の間で東中国海の境界線をめぐって紛争があり、それは客観的な事実であり、中国は常に話し合いによって紛争を解決することを堅持している。日本政府は火曜日に日本の企業に東中国海のいわゆる「境界線」のガスと石油が存在する可能性がある地域の試掘権を与えることを明らかにした。このようないかなる一方的な行動も状況をさらに複雑化させ、先鋭化させ、この問題の性格を根本的に変えてしまうことになる。それにもかかわらず、双方がお互いの利益から出発して大局的な観点からこの問題に対処し、行動することを信じている。挑戦はチャンスと相互協力に変わり、それによって、東中国海は本当の意味で紛争の海から友好の海、協力の海に変わることであろう。

日本の国連常任理事国入りについて

日本は国連常任理事国入りを目指しているが、中国としては日本が政治的信頼性を勝ち取り、近隣諸国の普遍的な支持を得ることによって国連常任理事会の永久議席を得ることを望んでいる。日本の国連常任理事国入りは単に投票の問題ではなく、それは政治的信頼性と普遍的な支持の問題である。中国は日本が国際社会でより大きな役割を演じることを願っていることは理解する。しかし、日本が国連常任理事国のメンバーになるためにはその近隣諸国の人民の政治的信頼と理解を得るためにより努力することが何よりも必要だ。中国は話し合いによって共通認識を得なければならないという立場を堅持している。もしも紛争と意見の食い違いがこの世界的組織で起こるならば、国連のイメージは損なわれ、国連の役割も影響を受ける。

国連の改革が現在世界でいろいろな脅威と挑戦に直面していることに鑑み、この改革は少数の国の利益とかかわるものであってはならない。ミレニアム開発目標の実施のため、より多くのしかるべき関心を発展途上国に向けるべきであり、これこそが改革の焦点である。

中国在住の日本人の安全を確保

中国は法律に則ってさまざまな措置をとり、在中国日本国大使館、日系企業及び中国在住の日本人の安全を確保することにしている。当面、歴史問題と領土の紛争のため、中日関係の緊張が高まっている。先週の週末、北京市及び中国南部の一部都市で、大学生を含む数千人の民衆が、侵略を否定し、美化する歴史教科書を合格と認定したことによって憤激し、自発的に抗議デモを行い、強い不満を表した。中国政府は事態の重要性を意識し、始終デモ参加者に対して、冷静さと理性を保ち、合法的で秩序のあるやり方で態度を表明するよう求め、一部の過激な行為を避けることに努めている。

関連部門は日系の機構と日本人の安全確保のため多くの措置を取り、大量の警備関係者をくり出して秩序の維持、事態の拡大の防止に努めた。中国政府にとって、デモのまばらな過激な行為に賛成してはいない。

当面の事態を通じて、中日関係の現状が消極的かつ複雑な状況にある時に、両国がともに積極的な態度をとらなければならないことが分かった。事件の過程だけに注目すれば、中日間の問題はさらに複雑になり、両国関係の長期にわたる発展にもプラスとはならない。そのため、われわれは根深い核心的な原因を探し、問題の最適な解決を目指している。

最近、一部の過激な行為が中国政府によって支持され、中国政府のいわゆる「反日教育」がその原因であるという誤った判断が日本で流布しているが、それは遺憾である。私が指摘したように、このような認識は根拠もなく、事実をゆゆしく歪曲するものである。世界のいずれの国にも愛国教育を行う権利がある。中国の愛国教育は決して「反日教育」ではない。中国政府は日本を排斥し、恨むことを中国国民に教え込んだことは一度もない。われわれは「歴史の悲劇を再度演じさせないために、歴史を忘れないよう」、さらに「中日両国の人民はともに前向きの姿勢で、友情を永遠に保たなければならない」と中国の人々に教えてきた。中国は日本の一般的な人々を68年前に戦争を起こした軍国主義者と同一視してはおらず、現在の日本の人々が日本の侵略の歴史のために責められるという見方は持っていない。新中国の第一世代のリーダーたちは中国の歴史観を明らかにしてきた。故周恩来総理は1972年の中日国交正常化の際に、「中日両国国民はいずれも軍国主義者による戦争の被害を受けた者である」と語った。長年このかた、中国政府はこのように中国人民に教え、より客観的な国民の歴史観へと導くことに全力を尽くしてきた。

実のところ、先般の抗議デモは日本政府が歴史を否定し、侵略を美化する右翼の歴史教科書を合格と認定したことがもとで起こったものであり、また、日本の国連常任理事国入りへの反対を目指している。日本をドイツに比べると、ドイツが立法の形でナチズムに関する歴史的な結論の歪曲を回避したが、日本は右翼の歴史教科書を合格と認定し、歴史を覆い隠すこととなった。1970年代の初めに、ドイツのブラント首相がワルシャワのゲットーの犠牲者追悼碑の前で跪き、戦争への懺悔の気持ちを表した。しかし、日本の首相は毎年、14人のAクラス戦犯を合祀した靖国神社参拝を引き継き行ってきた。これはいかに鮮明なコントラストであろう。戦略の歴史を誠意をもって反省できない国の常任理事国入りの結果は中国人にとってはまったく想像できないことである。これは中国人の感じ方だけでなく、日本の隣国の全体の感じ方でもあろう。かつて懺悔と謝罪の意を表した日本は、最近、国内政治の原因を過度に強調し、隣国の人々の感情を無視することとなった。最近、日本側は日本首相の靖国神社参拝を「国内の政治と文化的伝統であり、歴史教科書の問題に手を出すヒマはない」ことを強調するばかりで、隣国の人々の気持を無視し、歴史の歪曲に対する抗議に対して「外国からの干渉」と誤った見方を表明している。このような外交政策では、日本は隣国と国際交流において信頼と支持を得るはずはないだろう。

メディアが中日両国関係の改善に寄与するよう望む

メディアは中日関係の改善、両国間の友情と誠意をさらに強化するために、積極的に努めるよう望むものである。中日両国のメディアは両国関係のより積極的な要素を取り上げ、両国政府の政策や両国民間の感情を正しく導き、ソフトな環境をつくり出し、両国関係をさらに改善させるよう望んでいる。メディアの努力がなければ、両国関係の改善と発展はできない。近年、両国の間には確かにさまざまな問題が頻発し、両国のメディアにも注目されている。しかし、隣国同士としては、摩擦や問題は避けられないことであるので、メディアがこれらの問題を客観的に処理し、より多くの積極的なシグナルを発信するよう望んでいる。両国のメディアは、日中両国の友好関係と協力を報道の重点とすることが望まれる。

(新華社英文ニュースより)

「チャイナネット」2005/04/16