2005 No.17
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中国の知的所有権保護の新たな進展

中華人民共和国国務院報道弁公室

2005年4月・北京

前書

知的所有権制度は人類の経済の発展、社会の進歩、科学技術の革新、文化の繁栄を促す基本的な法律制度である。世界の科学技術の急速な発展と経済グローバル化の加速に伴い、経済・社会活動における知的所有権制度の地位はこれまでになく高くなり、知的所有権保護は国際社会の注目を広く集めている。

中国は悠久な歴史をもつ文明古国であり、数千年来、多くの優れた科学者、発明家、文学者、芸術家はその輝しい知的成果で人類の発展と進歩に大きな貢献をした。中国政府と中国人民は、発明・創造と科学技術の貴重さをよく知っている。

中国の知的所有権制度建設はスタートがわりに遅かったが、速やかに発展している。1970年代末に改革・開放政策が実施されてから、中国の知的所有権保護は大きな進展をとげ、知的所有権制度が徐々に確立され、経済の健全な発展と社会の全面的進歩を促した。

国際社会が中国の知的所有権保護の実状を知り、正しく判断するのを助けるため、ここでそれについて若干の紹介と説明をする。

一、知的所有権保護の基本的情況

中国は一貫して責任を負う態度で知的所有権保護活動を積極的に推し進め、国際上の知的所有権保護の規則をあくまで遵守すると同時に、国情に基づいて相応の知的所有権保護レベルを確定し、知的所有権の創造者、応用者と社会公衆との間の利益関係にバランスを保たせるように努力し、知的所有権の創造と応用に良性循環を形成させている。

長年来、全社会の共同の努力の下で、中国の知的所有権保護は下記のように大きな進展をとげた。

――国際通用の規則に合致し、部類がわりにそろっている法律法規システムを確立し、健全にした。1980年代以来、国は「中華人民共和国特許法」、「中華人民共和国商標法」、「中華人民共和国著作権法」、「コンピューター・ソフトウェア保護条例」、「集積回路配置図設計保護条例」、「著作権集団管理条例」、「録音・録画製品管理条例」、「植物新品種保護条例」、「税関の知的所有権保護条例」、「特殊標章管理条例」、「オリンピック標章保護条例」など知的所有権保護の主な内容をカバーする法律と法規を公布、実施するとともに、一連の関係ある実施細則と司法説明を公布して、中国の知的所有権保護の法律・法規システムをたえず完全なものにしている。知的所有権に確実に効果のある法的保護を与えるため、中国は2001年にWTOに加盟する前後に、知的所有権保護と関係ある法律・法規と司法説明を全面的に改正し、法律制定の意義、権利の内容、保護の基準、法的援助手段などの面で、科学技術の進歩と革新の促進をいっそう際立たせると同時に、世界貿易機関(WTO)の「貿易関連知的所有権協定」および国際上のその他の知的所有権保護規則と一致するようにしている。

――調和のとれた高効率の活動システムと法律執行メカニズムを構築し、健全にした。中国では、知的所有権保護を実践する過程で、行政保護と司法保護という「二つの方途で同時に運営する」という知的所有権保護パターンが形成された。中国では、多くの部門がそれぞれ知的所有権保護の職責を履行している。これらの部門は主に国家知的所有権局、国家工商行政管理総局、報道出版総署、国家版権局、文化部、農業部、国家林業局、公安部、税関総署、最高人民法院、最高人民検察院などがある。長年来、これらの部門はそれぞれの分野ですこぶる成果のある活動を展開してきた。知的所有権保護をいっそう強化するため、2004年に国務院副総理を長とする国家知的所有権保護工作グループが設立された。同グループは責任をもって全国の知的所有権保護活動を統一的に按配し、協調させている。国家知的所有権保護工作グループ弁公室は商務部に設けられ、工作グループの日常活動を受け持っている。

ここ数年来、国は間の知的所有権保護活動の面で行政法律執行機関と公安機関、人民検察院との連係を強化した。2000年10月、関係部門は共同で「知的所有権侵害の違法犯罪事件を調査、処理する活動で協力と呼応を強化することに関する通達」を下達したが、同「通達」は知的所有権侵害の犯罪を調査、処理する時の協力と呼応の問題について明確な規定を行っている。2001年7月、国務院は「行政法律執行機関の犯罪容疑事件移送に関する規定」を公布し、行政法律執行機関が公安機関に犯罪容疑事件を即時移送することについて明確な規定を行った。2004年3月、関係部門はまた共同で「行政法律執行機関と公安機関、人民検察院との活動面での連係を強化することに関する意見」を下達して、行政法律執行と刑事法律執行が互いに接続、呼応する活動メカニズムを一応構築し、知的所有権侵害の違法犯罪活動を取り締まる合力を形成し、犯罪容疑事件をすかさず刑事司法段階に移すのを効果的に保証した。ここ数年来、司法機関は法によって、各種の知的所有権侵害事件を多く審理した。その結果、知的所有権の民事訴訟事件における被侵害者の経済的損害が即時に賠償され、知的所有権を侵害する違法犯罪行為が効果的に取り締まられた。

――知的所有権保護の行政法律執行を強化する。知的所有権を保護する法律制度が逐次整備するに伴い、中国の知的所有権保護活動の重点は徐々に法律制定から法律執行に移り、日常の監督・管理と特別整備との結合を通じて、知的所有権保護の行政法律執行を強化している。2004年8月、中国政府は2004年9月から2005年8月にかけて全国で1年間にわたる知的所有権保護の特別行動を繰り広げることを決定した。2005年3月31日、国務院はテレビと電話を通じて全国の市場経済秩序を整頓し、規範化させる会議を開き、知的所有権保護の特別行動を2005年末まで延ばすことを決定した。各関係部門は統一的配置に基づいて、商標権、著作権、特許権保護などの重点的分野、貨物輸出入、各種展示会および商品卸売市場などの重点的個所、偽造品の製造と販売が相対的に集中しているところなどの重点的地区で、重大な権利侵害事件の調査・処理を突破口として積極的に行動し、厳格に法律を執行して、知的所有権を侵害する違法分子に打撃を与え、積極的な成果をあげた。

――全社会の知的所有権意識の向上に努める。中国政府は知的所有権の宣伝・普及活動を非常に重視している。2004年から、国は毎年の4月20日から26日までの一週間を「知的所有権保護宣伝週間」とし、新聞・雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなど各種のマスコミを利用し、シンポジウム、知識コンテストおよび公益的広告制作などさまざまな形式を通じて、全社会で知的所有権の保護・宣伝・教育活動を繰り広げ、労働、知識、人材、創造を尊重する好ましい雰囲気をかもし出し、広範な公衆の知的所有権意識を高めている。

 ――国際上の知的所有権保護義務を積極的に履行する。中国は世界の知的所有権保護に関する主な公約と条約に積極的に加入している。中国は1980年に世界知的所有権機関に加盟してから、「工業所有権の保護に関するパリ条約」、「特許協力条約」、「特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約」、「意匠の国際分類を制定するロカルノ協定」、「標章の国際登録に関するマドリッド協定」、「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」、「標章の国際登録に関するマドリッド協定協議書」、「貿易関連知的所有権協定」、「植物新品種の保護に関する国際条約」、「文学的美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」、「世界版権条約」、「許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約」など十いくつかの国際公約・条約・協定・議定書に相次いで加入した。

中国は自ら引き受けた知的所有権保護の国際義務を厳格に履行すると同時に、世界各国に科学技術進歩のもたらす成果と利益を共同で享有させるため、知的所有権保護の国際規則の調整と整備に積極的に取り組んでいる。ここ数年来、中国は知的所有権の分野でその他の国、国際機構および外国投資企業と幅広い対話、交流、協力を行ってきた。アメリカの提案に応じて、2003年から中米双方は年一回知的所有権円卓会議を開き、これまで2回開いて、関係ある知的所有権問題について幅広く共通の認識に達した。2004年、中国・ヨーロッパ第1回知的所有権対話が北京で行われ、関係ある知的所有権の協力事項について初歩的に合意した。中国の各関係部門は多くの国の相応の機構および世界知的所有権機関(WIPO)、国際新品種保護同盟などの国際組織とも好ましい協力関係を樹立した。2003年9月、中国の関係部門は外国投資企業と定期的に疎通、協調するメカニズムを構築し、四半期ごとに会議を開き、知的所有権保護に対する外国投資企業の意見と提案を聴取している。

二、特許の保護

1980年の中国特許局の設立をメルクマールとして、中国の特許事業はすでに25年の道程を歩んできた。中国は1985年4月1日から「特許法」を実施し始め、その後は相次いで「特許法実施細則」、「特許代理条例」および「特許行政法律執行規則」「税関の特許権実施保護に関する若干の規定」などの法規と規則を公布し、同時に社会・経済発展の必要に応じて「特許法」を2回も改正し、それをたえず完全なものにしている。

中国はわりに短い期間に主に自力に頼ってわりに整った独自の特許審査システムを確立した。中国は1994年1月1日から、「特許協力条約」の加盟国となり、中国特許局は特許協力条約の受理局、国際検索機関、国際初歩的審査機関となった。同時に、中国はわりに整った特許管理システムを確立した。国務院の関係部門と地方は、「特許法」の規定に基づいて、特許管理機構を設立した。中国はまた人数が5000余人に及ぶ特許代理陣をつくり、特許代理、特許情報サービス、特許技術譲渡・仲介、特許技術評価を主な内容とするサービス・システムを一応形成した。

中国の特許事業は飛躍的発展をとげた。1985年4月1日から2004年末までに国家知的所有権局の受理した特許出願は228万4925件で、年平均増加率は18.9%に達した。そのうち、国内の出願は187万4358件、国外の出願は41万567件で、それぞれ出願総件数の82%と18%を占めた。2004年3月17日現在、中国の特許出願総件数は200万件の大台を突破した。中国の特許出願総件数が最初の100万件に達するまでに15年かかったが、次の100万件に達するまでに4年余りしかかからなかった。2004年、国家知的所有権局の受理した特許出願総件数は前年の30万8487件より14.7%多い35万3807件に達した。そのうち、国内の出願は前年の25万1238件より11%多い27万8943件で、総件数の78.8%を占め、国外の出願は前年の5万7249件より30.8%多い7万4864件で、総件数の21.2%を占めた。1994年から2004年までに国家知的所有権局の受理した国際出願は7131件で、そのうち、2004年に受理した件数は1592件である。「特許協力条約」の規則を通じて中国の国家レベルに達した国際出願は15万7770件で、そのうち、2004年は3万2438件に達した。

2004年末現在、国家知的所有権局の特許権授与総件数は125万5499件である。そのうち、国内は109万3268件、国外は16万2231件で、それぞれ総件数の87.1%と12.9%を占めている。発明、実用新案、意匠の特許権授与総件数はそれぞれ18万5412件、65万1224件、41万8863件で、総件数に占める比重はそれぞれ14.8%、51.9%、33.3%である。2004年の国家知的所有権局の特許権授与総件数は前年の18万2226件より4.4%多い19万238件で、そのうち、国内の特許権授与は前年の14万9588件より1.2%多い15万1328件で、国外の特許権授与は前年の3万2638件より19.2%多い3万8910件である。

中国は2001年10月1日から「集積回路配置設計保護条例」を実施し始めた。2004年末現在、国家知的所有権局の受理した集積回路配置設計登録出願は682件で、登録して公告し、証明書を発給したものは571件である。そのうち、2004年に受理した集積回路配置設計登録出願は244件、登録して公告し、証明書を発給したものは205件である。

ここ数年来、各クラスの特許管理部門は特許の行政法律執行を強化し、法によって食品、薬品など人民大衆の生命の安全にかかわる特許違法行為を厳しく取り締まり、核心の重要技術の特許権を侵害する事件およびわりに大きな影響を及ぼす事件に対する調査、処理に力を入れ、発明、実用新案、意匠の特許権にかかわる侵権・無断複製行為を真剣に調査、処理している。2004年8月、国家知的所有権局は国務院の統一的配置に基づいて「知的所有権の行政法律執行を強化し、特別法律執行を繰り広げる活動案」を印刷、配布し、所属部門の特別法律執行活動を即時に展開し、その年の年末までに、各地の知的所有権局は生産現場1万251カ所、商品208万1537点を検査した。2004年末現在、全国各地の特許管理部門の受理した特許権侵害、特許紛争事件は1万2058件で、そのうちの1万411件が結審し、結審率は86.3%に達した。そのうち、2004年に受理した特許紛争は1455件で、1215件が結審した。特許を騙る事件を3965件調査、処理し、他人の特許を騙る事件を358件調査、処理した。

三、商標の保護

中国が1979年11月1日に商標の統一的登録を回復して以来、商標保護は大きな発展をとげた。「商標法」は1983年3月1日から実施し始めた。中国政府は同法の実施に呼応するため、1983年3月に「商標法実施細則」を公布し、1988年に一回目の改正を行った。1993年2月、全国人民代表大会常務委員会は「商標法」を初めて改正し、サービス商標を商標保護範囲に入れ、商標をめぐる権利侵害・模倣行為取締りを強化し、商標登録手続きをいちだんと整備した。1993年7月、中国政府は「商標法実施細則」に対し二回目の改正を行い、集団商標と証明商標を商標の法的保護の範囲に入れ、「公衆のよく知っている商標」を保護する規定を増加した。

2001年10月、全国人民代表大会常務委員会は「商標法」に対し二回目の改正を行い、立体的商標と色を組み合わせた商標を商標の保護範囲に入れ、有名な商標に対する保護を強化し、商標制度で地理標識を保護することを規定し、商標の権利確定手続きの司法審査を増加し、商標をめぐる権利侵害・模倣行為の取締りをいちだんと強化し、中国「商標法」の関係規定をWTOの「貿易関連知的所有権協定」の原則と一致させた。2002年8月、中国政府は「商標法実施細則」を改正し、「商標法実施条例」に改名した。

「商標法」と「商標法実施条例」の規定に基づいて、国家工商行政管理総局は前後して「商標評価審議規則」、「有名商標認定保護規定」、「集団商標と証明商標登録管理規則」、「商標の国際登録に関するマドリッド協定の実施規則」、「商標印刷制作管理規則」など部門の規則を制定するか改正した。

ここ数年来、中国の商標法制のたえまない整備と全社会の商標意識の日ましの向上に伴い、中国の商標登録出願件数が急増した。1980年の商標登録出願件数は2万余件しかなかったが、1993年は13万2000件に達した。2000年から2004年までの5年間に、商標登録出願件数はそれぞれ20万件、30万件、40万件、50万件の四つの大台を越え、出願総件数は190万6000件に達し、1980年から1999年までの20年間の出願総件数よりも25万6000件多く、1980年から2004年までの25年間の出願総件数の53.6%を占めた。2004年の商標登録出願件数は約30%伸び、前年より13万6000件多い58万8000件に達し中国がWTOに加盟した年の2.17倍である。2004年末現在、中国の登録商標総数は224万件に達した。

中国の投資環境のたえまない整備に伴い、特にWTOに加盟してから、外国が中国に出願、登録する商標の数量がたえず増えている。中国における外国の商標登録出願件数は1982年は1565件であったが、1993年は2万件を超え、2004年は6万件を上回った。1979年以前に中国に商標を登録した国と地域は20しかなく、登録した商標は5130件であったが、2004年末現在、中国に商標を登録した国と地域は129に増え、登録した商標は累計40万3000件に達し、1979年と比べて79倍近く増加し、中国の登録した商標総数の約18%を占めた。

中国は「工業所有権の保護に関するパリ条約」に加入してから、有名商標を保護する国際義務を積極的に履行し、国家工商行政管理総局は前後して商標異議事件、商標争議事件および商標管理事件で400余りの有名商標を認定し、法によって国内外の有名商標権所有者の合法的権益を保護した。2004年だけでも、国家工商行政管理総局は前後して153件の有名商標を認定、保護したが、その中に、外国企業の有名商標が28件ある。同時に、中国の各クラス工商行政管理機関は有名商標を商標保護活動の重点として、その保護を強化し、その権益を侵害する各種の違法行為を厳しく取り締まった。

長年来、中国の各クラス工商行政管理機関は、商標行政法律執行ネットワークがよく整えられ、手続きが簡単で効率が高いという強みを十分に生かし、登録商標専用権の保護を核心として、行政法律執行の職責を積極的に履行し、多くの商標権侵害・模倣事件を調査、処理し、広範な商標権所有者の登録商標専用権を効果的に保護し、広範な消費者の合法的権益を確実に守っている。2001年から2004年にかけて、全国の各クラス工商行政管理機関は各種の商標違法事件16万9600件を調査、処理した。そのうち、一般の商標違法事件は5万6600件、商標権侵害・模倣事件は11万3000件(渉外商標権侵害・模倣事件1万2000件を含む)で、商標権を侵害し、商標を模倣した商標5億2900万件が没収、廃棄処分にされ、286件の商標と300余人が司法機関に移送して刑事責任を追及された。特に2004年では、国務院の知的所有権保護特別行動および国家工商行政管理総局の登録商標専用権保護行動展開案の按配に基づいて、全国の工商行政管理機関は有名商標と渉外商標保護、食品と薬品の商標権侵害事件の調査・処理を重点として、3回にわたって登録商標専用権保護特別整備行動を繰り広げ、登録商標専用権を効果的に保護した。統計によると、2004年に全国の各クラス工商行政管理機関は各種の商標違法事件5万1851件を調査、処理した。その中に渉外商標事件が5494件あり、2003年と比べて1.6倍増加した。調査、処理した5万1851件の商標違法事件のうち、一般の違法事件は1万1680件、商標権侵害・模倣事件は4万171件で、2003年より51.66%増加し、没収し、廃棄処分にした商標の違法標識は3895万1800件、没収した商標権侵害に用いる鋳型、版木などの道具は28万800件、没収、焼却した商標権侵害物品は5638.53トン、司法機関に移送して刑事責任を追及する事件は96件、人数は82人である。

四、版権の保護

1991年6月の「著作権法」の実施をメルクマールとして、1990年代から、中国は著作権の法律制度を徐々に確立し、ここ数年、国は「著作権法」を改正するとともに、「コンピューター・ソフト保護条例」、「著作権法実施条例」、「著作権行政処罰実施規則」、「著作権集団管理条例」など一連の法規と規則を公布、実施し、著作権保護のためにわりに整った法的基礎を築いた。

現在、中国では、国家版権局、省クラス版権局、地区・市クラス版権局という3クラスの著作権行政管理システムが初歩的に形成されている。各省・自治区・直轄市政府は版権行政管理部門をたえず強化して、版権行政管理と行政法律執行システムをたえず健全にしている。

ここ数年来、中国の各クラス版権行政管理部門は著作権行政法律執行を強化し、法律を執行する過程で、公安、工商行政管理、税関、報道・出版、文化などの部門との協力を強化し、互いに呼応して版権侵害・無断複製行為を取り締まる法律執行メカニズムを徐々に構築してきた。版権行政管理部門は版権侵害・無断複製行為取締りでは終始高圧の態勢をとり、全国でCD、教材・補習資料、ソフト、録音・録画製品の不法複製・販売、海賊版録音・録画製品の経営・密輸、インターネットによる版権侵害・無断複製などの行為を何回も取り締まり、積極的成果をあげた。おおまかな統計によると、1995年から2004年までに各クラス版権行政管理部門は版権侵害・無断複製製品3億5000万件を没収し、版権侵害事件5万1368件を受理し、4万9983件を結審した。2004年は合計9691件の版権侵害事件を受理し、9497件を結審し、7986件を処罰したが、その中に2社の中国企業が米マイクロソフト社の著作権を侵害する重大事件の調査・処理も含まれている。

中国は、版権法律制度を確立、整備し、版権行政管理を強化すると同時に、版権の社会サービスシステムの確立を非常に重視している。現在、版権集団管理機構、版権代理機構、版権保護協会および関係ある各業種の協会と版権所有者組織などからなる版権社会管理サービスシステムが一応確立されている。1988年に中華版権代理総公司、1990年に中国版権研究会(2002年に中国版権協会に改名)、1993年に中国音楽著作権協会、1998年に中国版権保護センターが相次いで設立された。現在、中華全国文学芸術界連合会、中国作家協会、中国映画家協会などの作者協会・団体および図書出版、録音・録画製品製作、ソフト開発など版権産業の業種協会には専門の版権保護組織があり、全国の20余りの省(自治区、直轄市)および一部の中心都市にも版権協会が設立され、中国文字作品版権集団管理組織および中国録音・録画製品版権集団管理組織も設立準備中である。

五、録音・録画製品の知的所有権の保護

録音・録画製品の不法複製がいくら禁止しても絶たないのは世界的難題である。中国政府は録音・録画製品の知的所有権保護を非常に重視し、録音・録画製品不法複製の取締を知的所有権保護の重要な活動としてたえずそれに力を入れている。ここ数年来、中国では、知的所有権保護制度、録音・録画製品経営許可証制度、出版権専有制度、複製委託書制度、CD製造先識別コード(SIDコード)制度、輸入録音・録画製品内容審査制度、告発者奨励制度、録音・録画製品に統一的な不法複製防止標識を貼る制度、録音・録画製品倉庫登録制度、不法複製録音・録画製品監督・告発・公示制度などを含む一連の録音・録画製品管理制度が徐々に確立されている。

1994年8月、国は「録音・録画製品管理条例」を公布し、2001年12月にそれを改正した。「民法通則」、「著作権法」、「刑法」、「録音・録画製品管理条例」などの関係法律・法規の規定に基づいて、報道出版総署、文化部、税関総署、商務部などの部門はそれぞれあるいは共同で「録音・録画製品出版管理規定」、「録音・録画製品卸売り・小売り・賃貸し管理規則」、「録音・録画製品輸入管理規則」、「中外合弁録音・録画製品取次販売企業管理規則」など一連の行政規則を発布し、録音・録画製品の経営、保護に頼るべき法律と規則を与えた。

録音・録画製品市場の急速な発展に伴い、国は録音・録画業に対する行政管理体制をちくじ調整している。「録音・録画製品管理条例」は、録音・録画業に対する行政管理の機能分担について規定を行っている。1998年、国務院は「簡素、効率、統一」という原則にのっとって管理体制をいちだんと整備し、報道出版総署が録音・録画製品の製作、出版、複製を管理し、文化部が録音・録画製品の卸売り、小売り、賃貸し、上映、輸入を管理すると明確に規定した。地方政府も中央政府の機能分担を参照して、管轄地区の管理体制を調整した。現在、国内ではすでに中央、省、地区、県の4クラスの録音・録画製品市場管理ネットワークが形成され、ほとんどの地区はさらに録音・録画製品市場を含む文化市場を検査するグループを設けて、録音・録画製品市場を監督、管理する職責を真剣に履行している。

1990年代以来、中国の出版物市場監督管理部門、文化行政管理部門は関係部門と密接に呼応し、録音・録画製品市場に対する持続的な集中整備を通じて、海賊版の録音・録画製品を著しく減らし、正規版の録音・録画製品の発行量を大幅に増やし、録音・録画製品市場の秩序を徐々に好転させている。おおまかな統計によると、1994年から2004年までに全国で不法CD複製企業9社が経営許可証取り上げの処罰を受け、不法CD生産ライン200本を押収された。2004年8月、文化部は知的所有権保護特別行動の統一的按配に基づいて、録音・録画分野の所有権侵害行為に対する集中的取締りについて全面的配置を行い、重点的都市、重点的地区を協調して法律執行をいちだんと強化するように監督、指導し、不法複製の録音・録画製品を保管する闇の倉庫と不法発行ネットワークを摘発した。2004年、全国の文化市場検査管理部門は、55万5368社の録音・録画製品経営企業を検査し、各種の不法録音・録画製品1億5400万件(枚)を押収した。2005年1月12日、文化部、国家知的所有権保護工作グループ弁公室は、全国で不法録音・録画製品の統一的焼却活動を繰り広げ、6335万余件(枚)の各種不法録音・録画製品を集中的に焼却した。

六、植物新品種の保護

中国政府は国情から出発し、国際的経験を真剣に参考にして、植物新品種を保護する一連の制度と措置を制定、実施し、投資主体の合法的権益を十分に保証している。国は1997年10月1日から「植物新品種保護条例」を実施し始め、中国の知的所有権の保護範囲を大いに広げた。

「植物新品種保護条例」の実施に呼応するため、中国政府は相次いで「植物新品種保護条例実施細則(農業部分)」、「植物新品種保護条例実施細則(林業部分)」、「農業植物新品種所有権代理規定」、「農業植物新品種所有権侵害事件処理規定」、「農業部植物新品種再審委員会審理規定」などの規則を公布し、植物新品種の快速発展に法的保障を提供した。

ここ数年来、国はそれぞれ農業部と国家林業局に植物新品種保護弁公室、植物新品種再審委員会を設立し、審査許可机関、法律執行機関、仲介サービス機構、その他の所有権保護組織が結合する保護組織システムを形成した。同時に、農業植物新品種繁殖材料貯蔵センター、植物新品種試験センターと14のサブセンターおよび林業植物新品種試験センターと五つのサブセンター、二つの分子測定実験室からなる技術支持システムが確立された。品種所有権審査の科学性と権威性を保証するため、関係部門は国際上の植物新品種測定技術規範を参考にする基礎の上で、中国の実情と結び付けて、トウモロコシ、水稲、箱柳、ボタンなど57種の植物新品種の試験ガイドを制定し、そのうちの18種を国家基準あるいは業種基準で公布、実施している。

国は前後して5部の農業植物新品種保護リスト、4部の林業植物新品種保護リストを公布し、保護を受ける植物の属と種の数を119に増やしたが、その中に、農業植物品種が41種、林業植物品種が78種あり、その数は「植物新品種に関する国際保護条約」の定めた最低数をはるかに上回っている。

2004年末現在、農業部の受理した品種所有権出願件数は合計2046件ある。年度別に見れば、1999年は115件しかなかったが、2004年は735件に達し、年平均44.9%増加した。種類別に見れば、大規模耕作の農作物が1875件、野菜が87件、果樹が52件、観賞植物が32件である。部門別に見れば、科学研究・教育部門が1274件、企業と個人が772件(そのうち、外国企業と個人は32件)である。審査にパスし、品種所有権を授与されたものは合計503件ある。

2004年末現在、国家林業局の受理した品種所有権出願件数は合計305件ある。その中に、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、アメリカなど諸国の出願が64件あり、植物新品種所有権を授与されたものは72件あり、種類は主にコウシンバラ、ボタン、ポインセチア、ホトトギス、箱柳、クリ、アンズ、ユーカリ、クルミなどの種類があり、そのうち、木本観賞植物出願件数は出願総件数の82.95%を占める253件ある。出願者は主に国内の研究機構、国外の個人育種者と国内の大学で、それぞれ出願件数の50.2%、14.4%、11.1%を占めている。

国は2001年から12の省・市を選んで植物新品種保護の法律執行を試行し、それを徐々に全国に広げている。2004年末現在、全国では17の省(自治区、直轄市)が農業植物新品種所有権侵害・詐称事件863件を調査、処理した。

七、税関の知的所有権保護

中国は1994年9月から知的所有権に対し国境保護を実施し始めた。現在、中国の税関はすでに通関申告書の審査、輸出入貨物の検査、所有権侵害貨物の拘留・調査、違法輸出入業者の処罰、所有権侵害貨物の処理などを含む一連の完備した知的所有権法律執行制度を制定している。

1995年10月、中国は「税関知的所有権保護条例」を初めて公布、実施し、WTOの規則に合致する国境における知的所有権保護制度を確立し始めた。2000年、全国人民代表大会常務委員会は「中華人民共和国税関法」を改正し、法律面から税関の知的所有権保護の職能を確定した。2003年12月、中国政府は改正後の「税関知的所有権保護条例」を公布し、税関の知的所有権侵害貨物を調査、処理する権力を強化し、知的所有権所有者が税関に保護を求める負担を軽減し、税関と司法機関、その他の行政機関の職責を明確にした。つづいて、税関総署は新条例の「実施規則」を制定し、その中で新条例の商業秘密保全、国際登録商標の記録・保存、保証金の受け取りと払い戻し、知的所有権所有者の関係費用負担などを明確に規定している。2004年9月、中国政府は「行政処罰実施条例」を公布し、輸出入貨物の知的所有権侵害に対する行政処罰を明確に規定した。2004年12月に最高人民法院と最高人民検察院が公布、実施した「知的所有権侵害刑事事件を処理するにあたって具体的に応用する法律の若干の問題に関する説明」は、知的所有権侵害貨物の輸出入を代理した刑事責任をはじめて明確にしている。これで、経済・社会発展の必要に適応する税関の知的所有権保護の法律システムが基本的に確立された。

中国は税関の知的所有権保護の法律執行メカニズムを構築し、健全にした。一は税関の知的所有権保護を中央部門で記録にとどめる制度を確立した。知的所有権所有者が事前に知的所有権を税関総署で記録にとどめさえすれば、開港の税関は記録にとどめた知的所有権を侵害する輸出入貨物を拘留する権力がある。2004年末現在、税関総署が税関の知的所有権保護を記録にとどめることを審査し、許可した件数は6257件に達した。二は主動的保護と受動的保護を結びつけた保護のパターンを実行した。税関は知的所有権所有者の申請に基づいて所有権侵害容疑のある輸出入貨物を拘留するばかりでなく、自ら進んで職権により所有権侵害貨物を輸出入する違法行為を調査、処理する。三は法律執行機構を設立し、健全にし、知的所有権法律執行陣づくりを強化した。2004年末現在、全国の各直属税関に知的所有権保護を管理する関係部門が設立され、専門の知的所有権保護機構を設立した税関が11あり、条件の整った一部の税関は業務現場に知的所有権活動の連絡係を配備している。税関総署、直属税関、隷属税関という3クラスの知的所有権法律執行システムが初歩的に形成されている。

輸出入段階の知的所有権侵害と不法複製行為を抑えるため、中国各開港の税関は税関の法律執行の重点として、輸出入する偽造品と海賊版の製品を調査、処理している。1996年から2004年までに、全国の税関は各種の輸出入貨物の知的所有権侵害事件4361件を調査、処理し、金額は6億3000万元に達した。2000年以後、税関が毎年摘発した事件は30%前後増加した。こうして、輸出入貨物の知的所有権侵害の不法行為が厳しく取り締まられ、開港の秩序が整頓され、知的所有権所有者の利益が守られた。

中国の税関は国境での知的所有権保護を実施する過程で、知的所有権所有者および知的所有権所有者協会との連絡と呼応を強化し、知的所有権主管部門との疎通と協力を強化し、その他の国の国境法律執行部門との協力と交流を強化している。現在、中国の税関はすでにアメリカ映画協会など知的所有権所有者組織と知的所有権保護協力覚書を締結し、すこぶる成果のある協力を繰り広げている。また、知的所有権管理部門、公安部門など知的所有権の行政・刑事法律執行部門と何回も法律執行協力を行って、知的所有権を侵害する違法犯罪行為を効果的に取り締まっている。さらにはEU、アメリカなど諸国の税関と税関の知的所有権保護の内容を含む行政法律執行取決を結び、その他の国の税関と知的所有権保護の情報交換と法律執行協力を積極的に繰り広げている。

八、公安機関の知的所有権侵害取締り

ここ数年来、中国の公安機関は一連の措置をとって、各種の知的所有権侵害犯罪行為を厳しく取り締まり、法律執行のレベルと能力をたえず高めて、社会主義市場経済の健全な発展を保障してきた。

1998年、知的所有権侵害犯罪行為の取締りをいちだんと強化するため、「刑事訴訟法」の規定に基づいて、公安部に知的所有権侵害犯罪行為の取締りを組織、指導し、協調させ、重大事件の処理を監督する専門機構が設立された。地方の各クラス公安機関にも、この種の犯罪事件の受理、立件、捜査を具体的に担当する専門の捜査陣が設けられている。2000年から2004年までに全国の公安機関は知的所有権侵害犯罪事件を5305件摘発し、総額は22億元近くに達し、犯罪容疑者を7100人逮捕した。そのうち、摘発した商標専用権侵害事件は4269件、総金額は11億8000余万元に達し、犯罪容疑者を5564人逮捕した。多くの知的所有権侵害犯罪事件は、偽造劣悪製品生産販売罪を犯したとして処罰された。

2004年11月以来、公安部は全国で1年間にわたって商標専用権侵害犯罪取締り特別行動を繰り広げ、波及面が広く、劣悪な影響を及ぼし、金額がわりに大きな知的所有権侵害犯罪事件を多く摘発した。これらの事件は主に、浙江省公安機関の摘発した「ギレッテ」かみそり刃の偽造事件、福建省公安機関の摘発した「アディダス」、「ナイク」などのスポーツシューズの偽造事件、広東省公安機関の摘発した米シコー社製電子製品の偽造事件、四川省公安機関の摘発した「五糧液」など銘酒の偽造事件などがある。

中国に投資し、製品を販売し、企業と研究開発センターを設立する外国企業が増えるに伴い、中国の公安機関は知的所有権所有者の意見と提案を真剣に聴取するため、定期疎通協調制度を徐々に確立している。2002年12月以来、公安部は関係ある外商投資企業協会とともに、それぞれ海南省、広東省、広西チワン族自治区で「知的所有権刑事保護フォーラム」を3回開き、フォーラム宣言を発表し、疎通と協調を強化する面で好ましい役割を果たした。

国際的な知的所有権侵害犯罪事件がますます増える状況に照らして、中国の公安機関は知的所有権侵害犯罪取締り分野の国際法律執行協力を非常に重視し、調査と証拠集めを援助し、犯罪の手がかりを通報し、情報を交換し、司法援助を提供するなどの面で各国の法律執行機構と積極的に協力を繰り広げている。2004年7月、中国の公安機関は全力あげて米国土安全保障省移民・税関法律執行局と協力し、上海で海賊版DVD販売の容疑がある重大事件を成功裏に摘発し、処理し、アメリカ籍の犯罪容疑者をかしらとする7人の犯罪容疑者を逮捕し、海賊版DVDの隠匿個所を3カ所つぶし、海賊版DVDを21万余枚没収した。

九、知的所有権の司法保護

ここ数年来、中国の検察機関は知的所有権侵害の刑事事件を取り調べ、容疑者を逮捕、起訴し、法によって関係ある刑事訴訟活動に対し法的監督を行う職責を真剣に履行し、知的所有権侵害犯罪容疑のある多くの刑事事件を処理した。2000年から2004年にかけて、各クラスの検察機関は知的所有権侵害犯罪容疑者2533人を逮捕し、2566人を起訴するのを許可した。そのうち、2004年に逮捕を許可した知的所有権侵害事件犯罪容疑者は602人、起訴した者は638人である。2004年、全国の検察機関は、製品偽造と知的所有権侵害犯罪を取り締まる特別立件監督行動を繰り広げ、関係ある行政法律執行機関が法によって公安機関に犯罪容疑事件を移送するのを督促し、公安機関が法によって立件すべきであるがいまだに立件していない事件を法によって立件するのを監督し、犯罪容疑事件をすかさず司法プロセスに入らせるのを確保し、同時に偽造品製造・販売と知的所有権侵害の違法犯罪行為を放任、庇護する国家公務員の職務犯罪事件を多く調査、処理した。

長年来、中国の各クラス人民法院は、「公正と効率」というテーマをめぐって、知的所有権の民事・刑事裁判をたえず強化してきた。各種の知的所有権訴訟事件の審理を通じて、内外の知的所有権所有者の合法的権益を平等に保護し、法によって知的所有権侵害行為に制裁を加え、知的所有権を侵害する犯罪行為を厳しく取り締まり、社会の公平と正義を実現させるためにたゆまずに努力を払っている。

1981年から技術契約紛争事件を受理して以来、中国の法院は知的所有権裁判分野をたえず広げ、著作権、商標、特許、不当競争、コンピューター・ソフト、植物新品種、集積回路配置図設計など各種の知的所有権事件の裁判を相次いで行い、知的所有権の裁判地位を確立した。1998年から2004年までに全国の法院が結審した知的所有権民事一審事件は3万8228件、刑法分則第3章第7節に記された知的所有権侵害犯罪の一審事件は2057件、判決を言い渡した犯罪者は2375人であった。そのうち、2004年に全国の法院が結審した知的所有権民事一審事件は8332件、刑法分則第3章第7節に記された知的所有権侵害犯罪の一審事件は385件、判決を言い渡した犯罪者は528人であった。このほか、2004年に全国の法院はさらに偽造劣悪商品生産販売犯罪事件932件を結審し、犯罪者1453人に判決を言い渡し、不法経営犯罪事件1434件を結審し、犯罪者2103人に判決を言い渡した。上述二種類の犯罪事件のうち、知的所有権侵害犯罪に属する事件がかなり多くある。

法律を的確に適用し、法律執行の尺度を統一するため、最高人民法院は知的所有権事件の裁判経験をしめくくった上、法によって一連の関係ある司法説明を制定し、一連の重要な知的所有権の法律適用原則を完全なものにして、知的所有権の裁判に現れた新しい問題をすかさず解決し、各クラス人民法院が知的所有権事件を正確に審理するよう指導することに対し重要な役割を果たしている。例えば、2001年6月に最高人民法院が公布した「起訴前に特許権侵害を停止した行為の法律適用問題に関する若干の規定」は権利侵害行為をすかさず制止し、所有権所有者の損害拡大を効果的に防止するために訴訟措置を提供している。最高人民法院が1998年12月に公布した「不法出版物刑事事件を審理するにあたって具体的に応用する法律の若干の問題に関する説明」は、著作権侵害犯罪の罪状決定と量刑基準を明確にしている。最高人民法院と最高人民検察院が2004年12月に共同で公布した「知的所有権侵害刑事事件を処理するにあたって具体的に応用する法律の若干の問題に関する説明」は、刑法の規定を厳格に遵守し、中国の国情と司法の実状を総合的に考慮して、知的所有権侵害犯罪の罪状決定基準を適当に引き下げ、刑法の関係条文の操作可能性を適当に高め、知的所有権侵害刑事事件の処理に適用する具体的な法律根拠を提供しているが、これは知的所有権侵害の犯罪行為を効果的に取り締まることにとって重要な意義がある。

中国の法院は知的所有権担当裁判官の職業化建設を非常に重視している。長年の裁判の実践と計画的訓練を経て、法律に精通し、外国語が堪能で、豊富な裁判経験と科学技術の専門知識を身につけた素質の高い知的所有権裁判官を多数養成し、わりに健全な知的所有権裁判組織を徐々につくり上げ、知的所有権裁判の効果的展開を人員、組織の面から力強く保障している。

中国の法院はたえず知的所有権司法分野の国際交流と協力を強化し、国外の知的所有権裁判の有益な経験と成功した方法を学び、それを参考にしている。最高人民法院は世界知的所有権機関、欧州連合(EU)などとの友好協力を積極的に繰り広げ、知的所有権シンポジウムと養成クラスを何回も催して、好ましい効果をあげ、中国の知的所有権の司法保護のレベルアップを力強く促し、知的所有権裁判を新たなレベルに達するようにたえず推し進めている。

結語

事実が示しているように、中国政府が知的所有権保護のために並大抵でない努力を払った結果、中国の知的所有権保護はわずか二十数年で衆目の認める著しい進展をとげ、先進国が普通数十年ないし百年以上かかった道程をたどった。しかし、中国政府は、13億人口を抱える発展途上の大国として、経済が相対的に立ち遅れ、科学技術レベルがそれほど高くない状況の下で、完全な知的所有権保護制度の確立が一朝一夕にできるものでないということをよく知っている。中国では、知的所有権保護はなおも長い道程を歩まなければならず、任務はきわめて重いものである。

現在、中国の一部の地区と分野に、知的所有権を侵害する行為が依然として存在し、その中にかなり深刻なところもある。全社会の知的所有権保護意識はいちだんの向上が待たれている。同時に、経済のグローバル化および世界の科学技術の日進月歩の発展によって、知的所有権保護は新しい挑戦に直面している。このため、中国政府は、科学的発展観の要求に基づき、いくらかゆとりのある社会を全面的に建設し、調和の取れた社会を構築する過程で、いっそう効果的な政策と措置をとって、中国の知的所有権保護を新たなレベルに推し上げるよう努力するであろう。

長年来、中国は知的所有権制度を確立する過程で、国際社会の積極的支持と協力を得てきた。今後、中国政府はひきつづき自ら引き受けた知的所有権保護の国際義務を真剣に履行し、いっそう積極的な開放の姿勢で、世界各国および国際組織との協力を強化し、世界的範囲内で知的所有権保護の好ましい制度と環境をつくり上げるようともに努力するであろう。