2005 No.18
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日系企業の給与水準は欧米系企業の二分の一

上海交大正源企業諮詢有限公司と日本能率協会が共同で実施した「日系企業給与福利調査」により、欧米系企業との比較で、日系企業は給与水準が5割程度であることが判明した。

中国に進出している日系企業の従業員約1万人を対象に行われた調査。日系企業の内訳は、独資が58%、合資が42%。ダイキン(中国)投資有限公司、上海オムロン控製電器有限公司、コニカミノルタ光学機器(上海)有限公司、住友重機械減速機(上海)有限公司など大手企業が対象となった。

中国に進出する日系企業は労働密集型が多く、投資会社や技術密集型が多い欧米系企業とは異なっている。そのため、日系企業は製造業を中心に多くの労働力を必要としていることが特徴だ。

給与水準に関して、大学院博士課程修了者の新卒初任給で、欧米系企業が7800元であるのに対し、日系企業では4000元。大学院修士課程修了者の場合は、欧米系企業が4700元で日系企業は3200元。4年制大学卒業者は、欧米系企業が3000元で日系企業は2200元。

さらに、役職が高くなるほど欧米系企業と日系企業の給与水準の差は大きくなっていることも分かった。作業員クラスの平均年収は日系企業の1.6万元に対し欧米系企業は2万元。一般社員クラスの場合は、日系企業の3.2万元に対し欧米系企業が4.5万元となり、欧米系企業の方が40%近く高くなっている。部長クラスになると、日系企業の12万元に対し欧米系企業が23万元で、2倍近い差がある。

上海交大正源企業の李双・アナリストは、給与格差が開く原因は進出目的の違いにあると分析している。日系企業の多くは中国を生産基地と位置づけているため、研究開発部門を設ける会社が少なく、従業員に高い能力を求めていないという傾向がある。一方の欧米系企業は有能な人材を求め、高給で従業員の意欲をかきたてようとする傾向が強い。

人材流出率も、日系企業の方が高い。日系企業の人材流出率は24.3%だが、欧米系企業は14.8%。日系企業では、係長や一般社員、作業員クラスの離職が目立つ。また、日系企業の自己都合退職率は17.86%で、会社都合退職率は6.61%となっており、比率は2.7倍になる。これに対し、欧米系企業では自己都合と会社都合の退職率はほぼ同じで、1.06倍だ。

日系企業の従業員が退職する理由は、管理職や技術職従業員の場合「自己のステップアップ」が多く、事務員や営業職従業員の場合「給与と福利」が多い。

李双アナリストは、この原因を、日系企業の制度や文化に関係があると分析する。日系企業の多くは、中国に進出してからも日本式管理を行い、協調性や団結力は重視するが個性を軽視するという傾向がある。また、部長クラス以上は日本人が担当するのが普通で、昇進やスキルアップを目指す従業員の意欲をそいでいるという面がある。