2005 No.01
(1227 -0102)

アドレス 
中国北京市
百万荘大街24号
北京週報日本語部
電 話 
(8610) 68326018 
(8610) 68886238

>> 経済

中国の金融業、全面的に開放へ

李子

経済・金融グローバリゼーションがすすみ、中国の金融市場は国際金融市場の重要な構成部分となってきている。そのため、中国の金融改革は国際金融市場に影響を与えることになる。では、中国は金融改革をどのようにすすめるつもりなのだろうか。

中国の金融業は2006年に全面的に対外開放されるが、そのときには中国の金融市場はより大きく世界金融体系に組み込まれ、中国の金融機構はより激しい競争に直面することになる。中国は金融業の改革に力を入れ、その全面的開放の挑戦と競争を迎えようとしている。

改革の進展

金融の監督管理面では、昨年4月28日、中国銀行業監督管理委員会が設置されたことにより、銀行監督管理委員会、証券監督管理委員会、保険監督管理委員会からなる監督管理体制が形成された。

金融の機構改革面では、とくに銀行の3つの改革に力が入れられている。

(1)国有商業銀行の改革。中国の四大国有商業銀行(中国銀行、中国建設銀行、中国工商銀行、中国農業銀行)のうちの中国銀行、中国建設銀行の株式制への改造がすすめられ、国有商業銀行を現代商業銀行にすることをめざす。さる9月21日、中国建設銀行株式有限公司が発足したが、これは国有商業銀行の株式制への改革が段階的な成果をおさめたことを示している。

(2)株式制商業銀行の改革。海外の金融機構が中国の株式制商業銀行に参入できるようにする。8月6日、香港上海銀行は144億6100万元(約17億4700万ドルを投資して中国最大の株式制商業銀行である交通銀行の株式を購入し、財政部に次ぐ第2の株主となった。これは中国最大の株式制商業銀行の改革が大きな成果をあげたことを示している。

(3)農村信用社の改革。すでに全国29省の市区で改革の試行が展開され、これが専門の農村金融機構となっている。

だが、中国の銀行業改革の核心は経営メカニズムの転換を通じて強い競争力をもたせることである。

かつて計画経済体制下で、中国の国有銀行は国が統一的にタテ割りの業務をおこなっていた。のちに中国の改革・開放の進展、市場経済の発展にともない、四大国有銀行は国有商業銀行として、市場に向けて営業するようになった。同時に国内にも多くの株式制商業銀行が現れるようになった。

ここ2年、中国の金融改革がすすみ、監督管理政策が充実し、WTO加盟後の金融市場の対外開放によって、中国の金融業の発展環境と発展重点が大きく変わった。

直面する問題

中国共産党中央政策研究室の鄭新立副主任は、中国の金融改革は4つの問題を抱えていると指摘している。

第1の問題は直接融資の比率が低すぎることである。現在、間接融資の比率が80%以上を占めており、金融リスクが過度に銀行に集中している。直接融資の発展をはかり、株式市場と債券市場を発展させ、直接融資の規模を拡大してはじめて、銀行貸付リスクの圧力を軽減することができるのである。

第2の問題は商業銀行そのものの体制が市場の需要に適応していないことである。1、商業銀行の内部規制メカニズムをいっそう強化する必要がある。2、商業銀行の構造が不合理で、中小銀行と区域的銀行が少ない。貸付審査コストが高く、大銀行は大量の小口貸付の需要と中西部および農村の融資の需要を満たすことができない。この矛盾を解決するには中小銀行を発展させ、銀行の体制を改革し、銀行の構造を調節する必要がある。

第3の問題は債券市場を発展させることである。中国の資本市場は全体的に発展が遅れており、しかも資本市場における債券市場はスタートしたばかりであるので、資本市場における債券市場を重点的に発展させるべきである。

第4の問題は通貨流動メカニズムが整備されていないことである。 近年、住宅ローン、自動車ローンなど消費者ローンがわりに速く伸びてきているものの、貸付に占める割合はまだ低すぎる。そのため、広範な消費者の金利の調整、融資政策に対する反応は外国のように敏感ではない。

改革の重要な時期

国務院発展研究センター金融研究所の夏斌所長は次のように述べている。

今後5年間、金融改革は市場経済体制を基本的に確立する重要な時期に置かれる。全体的にみて、現在の資金配置は効率があまり高くなく、この意味からも金融業の改革を深める必要がある。まず解決しなければならないのはすでに顕著化している金融リスクの問題である。この問題を解決することが金融業を発展させるための今後数年間の最も重要な任務である。

現代金融企業を確立する過程には以下のいくつかの重点がある。1、どのように政府の「金融執政能力」を高め、政府と企業の関係を処理するかということである。政府は金融企業の日常の経営活動に直接介入すべきでなく、商業的金融機構内部で、「政府本位」をすべて取り消すべきである。2、経営不振の銀行、証券、保険が「退出」した後に現れる可能性のある社会問題について社会保障を与えることである。3、税収面で適宜に優遇することである。

向こう2−3年の金融改革では、融資構造に存在する多くの欠陥をできるだけはやく是正すべきである。

第1、株式市場の問題である。現在の株式市場は問題が多く、その最も主なのは中国の株式市場が社会的信用に欠けているという問題を抜本的に解決することである。

第2、債券市場面では、銀行と取引所の流通ルートを疎通させることである。 債券市場は「企業債を主体とする」市場を形成し、市場化の条件に基づいて、債券を発行すべきである。地方政府の債券については、条件の熟した、リスクをコントロールすることがきる、政府の信用のよい地方が「市政債券」の発行を試行するのもよい。