2005 No.01
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漢方によるエイズ治療は前途有望

これまで漢方薬でエイズ患者1万人を治療して、ある程度の基礎を築き、経験を積んだ。

張萍之

伝統的な漢方薬によるエイズ治療はスタートこそ遅かったが、今年に入ってからこの活動の進み方が速くなっている。

調べによると、エイズと関係ある漢方薬研究はいま三つの方面で進められている。一つは漢方薬の選り分けであり、これまでに体外実験で抗ウイルス作用のある漢方薬が70余種発見された。二つは漢方薬の有効成分である。三つは漢方薬複方の研究である。現在、一種の抗エイズ漢方薬が国家食品薬品監督管理局の認可を得て市販されており、ほかにいま臨床実験と審査・認可の過程にある漢方薬が二種類ある。

10月末、中国で真先にエイズ治療の研究を始めた中国漢方研究院基礎理論研究所の行った「漢方薬によるエイズ治療の研究」は、国家科学技術部専門家グループの検査にパスした。同専門家グループによれば、研究の結果はその他の漢方薬の研究に有益な参考を提供し、エイズ治療の新しい漢方薬開発のために好ましい基礎を築いた。

中国は国内で漢方薬によるエイズ予防・治療プロジェクトをいまになってからやっと始またが、国外の類似の治療プロジェクトの実施に対しては、すでに十数年前から援助している。1987年、当時のタンザニア大統領が中国を訪問した際、中国政府にエイズ治療のため漢方薬の専門家を同国に派遣してほしいと希望を表明した。その後、中国漢方研究院はタンザニアと漢方薬によるエイズ治療プロジェクトを展開した。

中国漢方研究院基礎理論研究所は1991年から、政府間の協力取り決めに基づき、8回に分けて33名の専門家をタンザニアに派遣し、漢方薬の弁証法的療法と固定した療法を結びつける方法で1万人のエイズ患者を治療し、四つの製剤を長期にわたって系統的に観察し、最後に「中研U号」の治療効果が最も理想的であることを発見した。

1998年から2000年にかけて、同研究所は44の確診病例(そのうちタンザニア人の患者は29人、中国人患者は15人)に対し「中研U号」で治療したが、3カ月間臨床観察を行った結果、同薬の総有効率が45−55%に達し、毒副作用がないことを発見した。昨年7月に14人の患者に対し行った臨床治療も、「中研U号」が免疫機能を高める作用があるばかりでなく、同時にエイズのウイルスを抑制する作用もあることを実証した。

研究と運用の進展状況

1995年以前に中国の官辺筋が検査、測定、公表したエイズ感染者の人数は1000人足らずであった。そのため、当時人々は中国のエイズ問題が重大ではないと考え、予防・治療そのものより予防・治療宣伝の方がより重視された。2000年10月以前には、相応の漢方薬によるエイズ治療の正式機構が一つもなかった。2001年11月、政府が経費を支出して組織した中国最初の官辺の漢方薬によるエイズ治療機構が広安門病院に設立された。同病院の漢方薬によるエイズ治療外来診察部は今でも国内唯一のものである。

今年6月に正式に始動した中国のエイズ患者に対し漢方薬の無料治療を実施するプロジェクトが、中国のエイズ治療の過程における一つの里程標と見られている。その時から、漢方薬によるエイズ治療が本格的に行われるようになった。

国家漢方医薬管理局からの消息によると、中国は15省・自治区の3万600人のエイズ患者にエイズと関係ある疾患の無料治療を提供し、第一陣として人民元900万元を支出して、河北、安徽、河南、湖北、広東など5省の2300人のエイズ患者に対し漢方薬による治療を行うという。

今年2月、漢方薬によるエイズ予防・治療が国の総体的な予防・治療計画に組み入れられ、また3年連続して人民元2900万元の特別資金を支出して、上述5省の一部県・区に漢方薬によるエイズ治療拠点をつくり、患者を無料で治療することが決定された。

漢方薬によるエイズ治療の臨床技術レベルを高めるため、衛生部、国家漢方医薬管理局は最近河南省で「五省漢方薬によるエイズ治療技術講習会」を開いた。

国家漢方医薬管理局は専門家を組織して、「五省漢方薬によるエイズ治療臨床技術案」を制定し、安全である程度の臨床治療効果のある漢方医薬機構の製剤を一部分選び出した。

余靖衛生部副部長兼国家漢方医薬管理局局長は次のように説明した。現在、漢方の理論に基づいて、エイズを3期と12の型に分け,どの型に対しても弁証法的に治療を施す原則がある。このほか、薬品監督管理局の認可と患者の同意を得て、近年来医師の模索して開発した病院の製剤を5省で応用することになった。

調べによると、2300人の患者はすべて農村の人であり、経済的原因で、エイズの治療代を負担できない。彼らはみな血を売る時にエイズに感染したのである。都市のエイズ患者または自費で治療できる患者は、5省および北京の広安門病院、地壇病院、佑安病院などいくつかの大病院のエイズ外来診察部で受診することができ、また規範的な漢方薬による治療を受けることもできる。

漢方薬による治療費は1日わずか8元

中国では、技術が立ち遅れ、開発コストが高すぎるため、エイズ治療の西洋薬の開発は遅れているが、漢方薬大辞典に収録された漢方薬草は5167種もある。漢方が中国の薬物研究の突破口となる可能性がある。

危剣安中国漢方研究院病院管理処処長・同研究院漢方薬によるエイズ予防・治療センター常務副主任・同研究院広安門病院エイズ臨床研究センター主任は次のように語った。いま国が無料で実行している西洋医のカクテルによる治療は、まず適格の医師が必要である。カクテル療法は厳格な薬物使用基準があり、ウイルスの量を検査、測定する計器が必要である。これらの条件が整えていないなら、厳格に言って、カクテル療法を用いてはならない。さもなければ逆効果しか得られず、限りある予防・治療資金を無駄にし、耐薬毒株を生み出して、今後の治療がいっそう面倒になる。西洋薬は治療に適する時期でないと使用することができない。

西洋医と比べて、漢方薬による治療には、薬品の供給源が豊富で、たえず発掘することができる、値段が安く、圧倒的多数の患者の使用に適している、耐薬性を生み出しにくく、毒副作用が少なく、農村の医師もそれを容易に把握することができるといった多くの強みがある。

漢方薬でエイズを治療する場合、患者一人の1日の費用はほぼ8元で、年間の治療代は3000元前後である。

このほか、介入が早いことも、漢方薬によるエイズ治療の強みの一つとなっている。漢方薬はエイズと確診すればすぐ使用することができ、西洋薬のように治療するのに適する時期まで待たなくてもよい。

漢方薬による治療の特徴は「人によって異なる」ことで、個体化診察治療を強調するが、それ相応にもたらされる問題は規範化するのが難しい。そのため、「五省漢方薬によるエイズ治療臨床技術訓練案」は安全である程度臨床治療効果のある漢方医療機構の製剤を選び出し、医師は治療の際、限定された五種の処方に基づいて処方箋を書かなければならない。現在、中国の漢方薬による治療は煎じ薬と製剤の二種類に分けており、弁証法的治療を基礎として、治療の際は時期と型の異なる患者に異なる薬物を投与している。

推し広める価値がある

蘇誠煉中国漢方研究院主任医師によれば、エイズの治療では、西洋薬と比べて、漢方薬は相対的に言って原料を収集するのが便利で、値段が安く、中国のエイズ患者に受け入れられやすく、そのため、それを推し広める価値がある。しかし、漢方薬の処方がわりに複雑で、使用するのに不便である。したがって、若干の処方を用意しておき、治療に当たる医師がエイズ患者に現れた症状に照らして薬物を加減するようにしたらよい。経済的条件がよければ、漢方と西洋医結合の方法で治療することができる。そうすれば、いっそうよい効果が得られる。

蘇誠煉氏はさらに言葉を続けた。漢方薬がエイズ治療に効果があるのははっきりしている。漢方薬で総合的に調整すれば患者の免疫力を増強し、症状を改善し、生存の質を高めることができる。漢方医はこう見る。エイズ発生の外因は淫乱で毒素に感染して体を壊すことにあり、内因は正気が損われ、気と血液が足りなくなることにあ。内因と外因は互いに因果であり、時間が長くなると、全身の臓腑の機能をひどく損壊し、悪性循環をもたらす。蘇誠煉氏を長とする治療グループは30人のエイズ患者に対し観察と治療を行ったが、その結果は、漢方薬が熱を冷まし、無力、咳、腹痛を軽減し、体重を増やす面で著しい効果があり、とくに西洋薬がなかなか抑えられないひどい下痢に対しわりによい効果があることを顕示している。

王健中国漢方研究院基礎理論研究所エイズ室主任によれば、現在西洋医のHAARTという療法はわりにはっきりした治療効果があるが、西洋薬の耐薬性と毒副作用の面に不十分な点がある。治療コストが高すぎて、中国でHAART療法を受けられる患者は非常に限られており、圧倒的多数の患者は使える薬がない状態にある。漢方薬によるエイズ治療はまだ研究の段階にあるとはいえ、200余種の漢方薬草のエイズ治療の体外実験を通じて約70種の漢方薬に程度は異なるがエイズのウイルスを抑制する作用があるのを発見した。漢方薬は著しい強みをもっている。中国漢方研究院は一部の漢方薬製剤を使って河南省某地の患者に対し観察治療を行って、満足できる治療効果をあげた。